お金のコラム

個人間融資に税金はかかる?贈与とみなされる条件と回避策

個人間融資に税金はかかる?贈与とみなされる条件と回避策 お金のコラム
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家族や友人との間でお金を貸し借りするとき、「税金はかかるの?」と不安になる方は多いです。
個人間融資は、やり方を間違えると贈与税や所得税の申告漏れにつながるリスクがあります。
無利息・借用書なしで融資をしているケースでは、税務署から「これは贈与では?」と判断される可能性も否定できません。
この記事では、借り手・貸し手それぞれに発生しうる税金の種類、確定申告が必要になる条件、そして贈与とみなされないための具体的な対策をまとめています。

個人間の融資でどんな税金リスクが生じるのかを知ることは、トラブルを未然に防ぐための第一歩です。
「うちは親しい間柄だから大丈夫」という感覚こそが、税務上のリスクを生む原因になります。
ぜひ最後まで読んで、自分の貸し借りが安全かどうか確認してみてください。

  1. 個人間融資と税金の関係とは?
    1. 個人間融資とはどんな取引か?
    2. なぜ税金が問題になるのか?
    3. 関係する主な税金の種類とは?
  2. 借り手に贈与税がかかるのはどんなケースか?
    1. 無利息で借りたとき贈与税はかかるか?
    2. 著しく低い利率で借りたときはどうなるか?
    3. 返済の意思がないとみなされた場合のリスクとは?
  3. 貸し手に所得税がかかるのはどんなケースか?
    1. 利息を受け取ったとき所得税はかかるか?
    2. 確定申告が必要になる金額の基準とは?
    3. 住民税の申告義務はどうなるか?
  4. みなし贈与とは何か?個人間融資で認定される理由とは?
    1. みなし贈与の定義とは?
    2. 税務署が贈与と判断する根拠とは?
    3. 家族・友人間で特に注意が必要な場面とは?
  5. 贈与税を回避するために必要な3つの条件とは?
    1. 1. 金銭消費貸借契約書を作成する
    2. 2. 適正な利息を設定する
    3. 3. 返済実績を口座振込で残す
  6. 借用書・金銭消費貸借契約書に書くべき内容とは?
    1. 必須記載事項とは何か?
    2. 収入印紙は必要か?
    3. 契約書がないまま貸借した場合の対処法とは?
  7. 利息なしで貸し借りをしたときの具体的なリスクとは?
    1. 贈与税の計算はどうなるか?
    2. 年110万円の基礎控除が使えるケースとは?
    3. 利息なしでも認められる場合の条件とは?
  8. 返済ができなくなったとき・債権放棄したときの税務リスクとは?
    1. 返済不能になった場合の税務上の扱いとは?
    2. 債権放棄(返済免除)をしたとき贈与税はかかるか?
    3. 返済困難時に取るべき対応手順とは?
  9. 贈与とみなされないためのチェックリストとは?
    1. 契約・書類面で確認すべき項目とは?
    2. 返済・利息面で確認すべき項目とは?
    3. 税務調査で特に確認されやすい点とは?
  10. 税務調査で指摘されやすいケースとは?
    1. 高額な貸借でとくに目をつけられる状況とは?
    2. 不動産購入・相続の場面で問題になりやすい理由とは?
    3. 税務署への説明で有効な証拠とは?
  11. 個人事業主や副業者が融資を受けた場合の注意点とは?
    1. 事業用途の借入利息は経費にできるか?
    2. 個人事業主が確定申告で注意すべき点とは?
    3. 副業所得との合算で申告義務が生じる場合とは?
  12. 税理士に相談すべきタイミングとは?
    1. 自分で判断が難しいケースとはどんなものか?
    2. 相談前に準備しておくべき書類とは?
    3. 税理士報酬の目安とは?
  13. よくある質問(FAQ)
    1. 家族間の貸し借りに金利をつけないと必ず贈与税がかかるか?
    2. 借用書を後から作成しても有効か?
    3. 貸したお金が返ってこなかった場合、損失として申告できるか?
    4. 年間110万円以内の融資なら税金はかからないか?
    5. 過去に無利息・借用書なしで融資をしていた場合どうすればよいか?
  14. まとめ
    1. 参考文献

個人間融資と税金の関係とは?

個人間融資も、税法のルールからは逃れられません。
金融機関を介さないからといって、税務の義務がなくなるわけではないのです。

個人間融資とはどんな取引か?

個人間融資とは、銀行や消費者金融などを使わず、個人同士でお金を貸し借りする取引です。
親子・夫婦・兄弟・友人など、身近な関係で行われることがほとんどです。

契約の自由は認められているため、利息や返済期間を当事者間で自由に決めることができます。
ただし、「自由に決められる」ことと「税金がかからない」ことはまったく別の話です。

なぜ税金が問題になるのか?

問題の核心は、「貸し借り」と「贈与」の境界線にあります。
税務署は、お金の流れを実態で判断します。

返済の実績がない・利息がない・契約書がないという状態が重なると、「これは実質的に贈与だ」とみなされる可能性が高まります。
当事者同士がどう認識していても、客観的な証拠がなければ貸し借りとは認められません。

関係する主な税金の種類とは?

個人間融資に関係する税金は、主に以下の3種類です。

税金の種類 誰に課税されるか 主な発生場面
贈与税 借り手(受け取った側) 無利息・低利息・返済免除など
所得税(雑所得) 貸し手(利息を受け取った側) 利息収入が発生した場合
住民税 貸し手 所得税の申告に関わらず申告義務あり

それぞれ発生するタイミングや対象が異なります。
借り手だけでなく、貸し手側にも税務上の義務が生じることを忘れないでください。

借り手に贈与税がかかるのはどんなケースか?

贈与税は、無償で財産を受け取ったときにかかる税金です。
「借りているだけ」のつもりでも、状況次第では課税対象になります。

無利息で借りたとき贈与税はかかるか?

無利息で個人間融資を受けた場合、本来支払うべき利息分が贈与を受けたとみなされる可能性があります。
これは「みなし贈与」と呼ばれるルールです。

ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除があります。
無利息による経済的利益(利息相当額)が、その年の他の贈与と合わせて110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

たとえば、100万円を無利息で借りた場合、利息相当額はおおむね数万円程度になります。
他に贈与がなければ、基礎控除の範囲内に収まることが多いでしょう。

著しく低い利率で借りたときはどうなるか?

無利息と同様に、相場より著しく低い利率で借りた場合も贈与とみなされる可能性があります。
「1%程度の利息はつけている」という場合でも、適正利率との差額が問題になることがあります。

相続税法第9条では、「著しく低い対価で財産を取得した場合、その差額は贈与とみなす」と定められています。
利率の設定には、税務上の適正利率を意識することが重要です。

返済の意思がないとみなされた場合のリスクとは?

返済計画が曖昧・返済実績がまったくないという状況は、税務署から「そもそも贈与では?」と見られる可能性があります。
元本全体が贈与と認定されると、高額の贈与税が課されることになります。

たとえば、親から子へ500万円が渡り、一度も返済が行われていなければ、その500万円はそのまま贈与と判断される可能性があります。
返済の意思を示すためには、定期的な振込などの「形に残る行動」が必要です。

貸し手に所得税がかかるのはどんなケースか?

借り手の贈与税リスクはよく語られますが、貸し手側の所得税・住民税の申告義務は見落とされがちです。
利息を受け取れば、それは立派な所得です。

利息を受け取ったとき所得税はかかるか?

個人が個人に対してお金を貸し、利息を受け取った場合、その利息は雑所得として所得税の対象になります。
元本の返済を受けた部分は所得ではないため、課税されません。

あくまで「利息として受け取った部分」が課税対象です。
利息の有無を明確にしておくことは、借り手だけでなく貸し手の税務管理のためにも重要です。

確定申告が必要になる金額の基準とは?

給与所得がある人の場合、給与・退職所得以外の所得が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です(所得税法第121条)。
利息収入がその年で20万円以下であれば、申告義務は生じません。

ただし、個人事業主はこの例外に該当しません。
利息収入の金額に関わらず、確定申告が必要です。

また、同族会社の役員やその関係者が法人に貸付けをして利息を受け取っている場合も、20万円以下でも申告義務があります(所得税法施行令第262条の2)。

住民税の申告義務はどうなるか?

所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税(都道府県民税・市区町村民税)の申告義務は別に発生します。
利息収入がある場合、住民税の申告は原則として必要です。

住民税の税率は所得の10%が基本です。
「所得税の申告は不要だから何もしなくてよい」という判断は誤りです。
申告漏れが後から発覚すると、延滞税や加算税がかかることがあります。

みなし贈与とは何か?個人間融資で認定される理由とは?

「贈与するつもりはなかった」では通じないのが税務の世界です。
みなし贈与のルールを理解することが、リスク回避の出発点です。

みなし贈与の定義とは?

みなし贈与とは、当事者間に贈与の意思がなくても、実質的に贈与と同様の経済的利益があったと税務署が判断した場合に、贈与税を課す制度です。
根拠法令は相続税法第9条です。

「無償でお金をもらったわけじゃない」「あくまで借りただけ」という主張は、客観的な証拠がなければ認められません。
当事者の意思よりも、「経済的な実態」が重視されます。

税務署が贈与と判断する根拠とは?

税務署が個人間融資を贈与と判断する際に見るポイントは以下のとおりです。

  • 借用書・金銭消費貸借契約書がない
  • 返済の実績がない(振込記録がない)
  • 利息の定めがない、または著しく低い
  • 返済期間が不明確または非現実的に長い

これらが複数重なるほど、「これは贈与では?」という疑いが強まります。
1つの条件が欠けているだけでも、全体の信頼性が崩れることを覚えておいてください。

家族・友人間で特に注意が必要な場面とは?

特に注意が必要なのは、高額な不動産購入や相続が絡む場面です。
たとえば、所得のない子が高額な不動産を取得した場合、税務署はその購入資金の出所を調査します。

「親から借りた」と主張しても、契約書や返済記録がなければ認められません。
親子間・夫婦間の貸し借りは特に疑いを持たれやすい取引です。
金額が大きければ大きいほど、証拠の整備が欠かせません。

贈与税を回避するために必要な3つの条件とは?

貸し借りを税務上「適正な融資」として認めてもらうには、最低限3つの条件を満たす必要があります。
どれか1つが欠けても、リスクは残ります。

1. 金銭消費貸借契約書を作成する

貸し借りの事実を証明するうえで、金銭消費貸借契約書の作成は最も重要な対策です。
口頭での約束だけでは、法的にも税務上も証拠力がありません。

契約書には、貸付金額・利率・返済期間・返済方法を明記します。
作成日と当事者双方の署名・押印も忘れずに。

2. 適正な利息を設定する

完全な無利息は、みなし贈与のリスクを高めます。
税務上問題になりにくい利率の目安としては、国税庁が公表する「基準年利率」が参考になります。

無利息にする場合は、契約書にその旨を明記したうえで、利息相当額と他の贈与の合計が110万円の基礎控除内に収まるかを確認しておくことが重要です。
利息の有無と金額を曖昧にしたまま進めることが最もリスクの高い状態です。

3. 返済実績を口座振込で残す

返済は必ず銀行口座への振込で行うことが大切です。
現金手渡しでは、返済の事実を第三者が確認できません。

振込の際には「借入金返済」などの内容を振込名義に入れると、記録としてより明確です。
毎月定期的に返済することで、契約が実態を伴ったものだと証明できます。

借用書・金銭消費貸借契約書に書くべき内容とは?

契約書を作れば安心、というわけではありません。
内容が不十分だと、証拠として機能しないことがあります。

必須記載事項とは何か?

金銭消費貸借契約書に最低限必要な項目は以下のとおりです。

  • 貸付金額(数字と文字の両方で記載するとより明確)
  • 貸付日
  • 利率(または無利息と明記)
  • 返済開始日・完済予定日
  • 返済方法(口座振込の場合は口座情報も)
  • 貸主・借主の氏名・住所・捺印

返済計画は無理のない金額・期間に設定することが重要です。
平均余命を超えるような返済期間は、実態を欠くとみなされるリスクがあります。

収入印紙は必要か?

金銭消費貸借契約書には、原則として収入印紙が必要です。
貸付金額によって印紙税額が異なります。

貸付金額 収入印紙の金額
1万円未満 非課税
1万円〜10万円以下 200円
10万円超〜50万円以下 400円
50万円超〜100万円以下 1,000円
100万円超〜500万円以下 2,000円
500万円超〜1,000万円以下 10,000円

収入印紙を貼り忘れても契約書の効力は失われませんが、印紙税法違反として過怠税(本来の3倍)が課されることがあります。

契約書がないまま貸借した場合の対処法とは?

すでに貸し借りが始まっているのに、契約書がないというケースは珍しくありません。
この場合、事後でも契約書を作成することは有効です。

作成日を「今日の日付」として正確に記載し、過去の貸借の事実を記述する形で契約書を整備します。
また、今後の返済は必ず振込で記録を残すようにしましょう。
手遅れではありませんが、早めに対応することが大切です。

利息なしで貸し借りをしたときの具体的なリスクとは?

「利息なしでも元本さえ返せば問題ない」と考えている方は、一度立ち止まって確認してください。
無利息融資には、見落としがちなリスクが潜んでいます。

贈与税の計算はどうなるか?

無利息融資により経済的利益(利息相当額)が発生した場合、その金額が贈与とみなされます。
計算式のイメージは、「適正利率 × 借入元本 = 贈与とみなされる金額」です。

たとえば、元本500万円を年利1.6%で計算すると、利息相当額は年間8万円です。
この8万円が贈与として扱われます。

贈与税の基礎控除(年110万円)以内であれば課税はされません。
ただし、他の贈与と合算して110万円を超えると、超えた分に贈与税がかかります。

年110万円の基礎控除が使えるケースとは?

贈与税の基礎控除は、1人の受贈者が1年間に受け取った贈与の合計額に対して適用されます。
無利息の融資による経済的利益だけでなく、他からの贈与と合計して判断される点に注意が必要です。

複数の人から贈与や無利息融資を受けている場合、合計が110万円を超えやすくなります。
特に相続財産が多い家庭では、意識的な管理が求められます。

利息なしでも認められる場合の条件とは?

無利息融資が税務上、贈与とみなされないケースもあります。
代表的なのは、利息相当額が年間110万円の基礎控除の範囲内に収まるときです。

ただし、この「認められる」状態を安定して維持するには、他の贈与の管理も同時に必要になります。
利息の有無を決める際は、融資金額・他の贈与状況・金利水準を踏まえて判断するのが安全です。

返済ができなくなったとき・債権放棄したときの税務リスクとは?

融資後に状況が変わり、返済が難しくなるケースもあります。
このときの対応を誤ると、新たな税務リスクが生まれます。

返済不能になった場合の税務上の扱いとは?

借り手が経済的に返済できない状態になった場合、それ自体は即座に課税されるわけではありません。
ただし、貸し手が返済を免除した時点で、免除した金額が借り手への贈与とみなされます。

たとえば、200万円の貸付残高を「もう返さなくていい」と免除した場合、200万円の贈与があったとして贈与税の計算が行われます。
基礎控除(110万円)を超える部分には贈与税がかかります。

債権放棄(返済免除)をしたとき贈与税はかかるか?

債権放棄とは、貸し手が借り手に対する返済請求権を放棄することです。
これは税務上、「財産を無償で与えた」行為と同じに扱われます。

債権放棄の金額が年110万円を超える場合、借り手に贈与税がかかります。
意図せず「もういいよ」と言ってしまった場合でも、税務上は贈与と判断されることがあります。
大きな金額の場合は、税理士に相談してから対応することを強くおすすめします。

返済困難時に取るべき対応手順とは?

返済が難しくなった場合でも、いきなり免除するのは税務上リスクがあります。
まずは以下のような段階的な対応を検討しましょう。

  1. 返済猶予(モラトリアム)の合意書を作成する
  2. 返済額を一時的に減額する覚書を作成する
  3. 税理士に相談したうえで、債権放棄の手続きと納税計画を立てる

感情的に「もう返さなくていい」と言う前に、書面での手続きを踏むことが重要です。
事後的な「なかったことにする」は、税務上通用しません。

贈与とみなされないためのチェックリストとは?

個人間融資を行う前・行った後に確認すべき事項をまとめました。
チェックが多いほど、税務上の安全性は高まります。

契約・書類面で確認すべき項目とは?

  • [ ] 金銭消費貸借契約書を作成しているか
  • [ ] 貸付金額・利率・返済期間が明記されているか
  • [ ] 双方が署名・押印しているか
  • [ ] 収入印紙を貼付しているか
  • [ ] 無利息の場合、その旨を契約書に明記しているか

書類の整備は一度きりの作業ではありません。
返済条件を変更した場合は、都度覚書などで記録を更新することが大切です。

返済・利息面で確認すべき項目とは?

  • [ ] 毎月の返済を口座振込で行っているか
  • [ ] 振込の際に「借入金返済」などの記録を残しているか
  • [ ] 利息を受け取った貸し手は、所得の管理を行っているか
  • [ ] 年間の利息収入が20万円を超えるか確認しているか(確定申告の要否)

返済の実績こそが、融資の実態を証明する最大の証拠です。
どれほど立派な契約書があっても、返済がゼロでは意味をなしません。

税務調査で特に確認されやすい点とは?

税務調査では、書類の存在だけでなく「実態があるか」が重要視されます。
特に確認されやすい点は以下のとおりです。

  • 振込明細などで返済の事実が確認できるか
  • 貸付金額に見合った返済能力が借り手にあるか
  • 貸し手側の口座に利息収入が入金されているか

「書類を作った」と「税務上適正である」は別の話です。
書類と実態が一致していることが、最終的な防衛線になります。

税務調査で指摘されやすいケースとは?

税務調査は誰にでも来る可能性があります。
個人間融資に絡んで指摘を受けやすい状況を把握しておきましょう。

高額な貸借でとくに目をつけられる状況とは?

一般的に、高額なお金の動きは税務当局の目に触れやすくなります。
特に以下のような状況では注意が必要です。

  • 所得のない(少ない)人が高額の資産を取得した場合
  • 口座への大きな入金と不動産購入が近い時期に重なる場合
  • 相続が発生した際に、被相続人から多額の出金があった場合

不動産登記情報や口座の入出金は税務署が確認できる情報です。
「バレないだろう」という考えは危険です。

不動産購入・相続の場面で問題になりやすい理由とは?

不動産は登記によって取得事実が公開されます。
所得に見合わない不動産取得があると、取得資金の出所について説明を求められます。

相続が発生した場面でも、被相続人(亡くなった方)の口座から子や配偶者に移ったお金について、「贈与か融資か」の確認が入ることがあります。
このとき、金銭消費貸借契約書と返済実績がなければ、すべて贈与と認定されるリスクがあります。

税務署への説明で有効な証拠とは?

税務調査の場で有効な証拠として機能するものは以下のとおりです。

  • 金銭消費貸借契約書(作成日・署名・印鑑あり)
  • 銀行の振込明細(元本振込・返済の双方)
  • 返済計画書や覚書などの記録

これらが一式揃っていれば、「貸し借りである」と主張する根拠になります。
証拠は「あとで集める」ものではなく、取引の時点で揃えておくものです。

個人事業主や副業者が融資を受けた場合の注意点とは?

個人事業主や副業収入がある方は、一般の給与所得者とは税務上の扱いが異なります。
融資に関する取り扱いも、より慎重に確認が必要です。

事業用途の借入利息は経費にできるか?

個人事業主が事業のために個人間融資を受けた場合、支払った利息は必要経費として計上できます。
ただし、あくまで「利息部分のみ」であり、元本の返済は経費になりません。

利息を経費として認めてもらうためには、事業用途に使ったことを明確にしておく必要があります。
事業用と私用の口座・資金を混同していると、経費として認められないリスクがあります。

個人事業主が確定申告で注意すべき点とは?

個人事業主は、利息収入の金額に関わらず確定申告が義務付けられています。
20万円以下の例外ルールは適用されません。

貸し手として利息を受け取った場合も、借り手として利息を支払った場合も、それぞれの会計処理を正確に行う必要があります。
帳簿に「借入金」の科目を設け、利息と元本を区別して記帳することが基本です。

副業所得との合算で申告義務が生じる場合とは?

給与所得者で副業をしている方は、副業所得と利息収入を合算して所得を計算します。
副業所得だけでは20万円を超えなくても、利息収入を加えることで申告義務が生じるケースがあります。

たとえば、副業所得が18万円・利息収入が5万円の場合、合計23万円となり確定申告が必要です。
「利息はわずかだから関係ない」という判断が申告漏れにつながります。
所得の種類が複数ある方は、合算して確認する習慣をつけておきましょう。

税理士に相談すべきタイミングとは?

税務の判断に迷ったとき、専門家への相談は決して遅くありません。
ただし、「迷ってから相談」より「始める前に相談」のほうが、対応の選択肢は広がります。

自分で判断が難しいケースとはどんなものか?

以下のようなケースは、自己判断でのリスクが高いため、税理士への相談をおすすめします。

  • 貸付金額が100万円を超えるとき
  • 不動産購入の資金として使われるとき
  • 相続が発生した・発生しそうなとき
  • すでに返済の実績がないまま数年が経過しているとき

「自分で調べた知識」では対処しきれない個別事情が、税務の世界には数多くあります。
特に贈与税と相続税が絡む局面は、専門家でないと判断が難しいケースが多いです。

相談前に準備しておくべき書類とは?

税理士への相談を効率よく進めるために、以下を事前に用意しておくと役立ちます。

  • 金銭消費貸借契約書(あれば)
  • 貸付・返済に関する振込明細
  • 貸付金額・利率・返済状況のメモ
  • 関係する当事者の続柄(親子・夫婦・友人など)

情報が整理されているほど、税理士からのアドバイスも具体的になります。
「何もわからないまま行く」よりも、事実関係を整理して臨む方が相談時間の無駄がありません。

税理士報酬の目安とは?

税理士への相談費用は、事務所や相談内容によって異なりますが、おおまかな目安は以下のとおりです。

相談内容 費用の目安
初回相談(1時間程度) 無料〜1万円程度
贈与税の申告(単純なもの) 3万〜10万円程度
確定申告(個人事業主・副業含む) 5万〜20万円程度

費用を惜しんで申告漏れが発覚した場合、延滞税・加算税・本税の合計が大きくなる可能性があります。
早期に専門家に相談することは、コスト面でも合理的な判断です。

よくある質問(FAQ)

家族間の貸し借りに金利をつけないと必ず贈与税がかかるか?

必ずかかるわけではありません。
無利息による経済的利益(利息相当額)と、その年に受けた他の贈与の合計が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

ただし、この「110万円の枠に収まっている」ことを自分で確認・管理する必要があります。
「たぶん大丈夫」という感覚的な判断は避けてください。

借用書を後から作成しても有効か?

有効です。
作成日を正確に記載し、過去の貸し借りの事実を記述する形で整備することは認められています。

ただし、日付を遡って記載する(バックデート)ことは書類の偽造になります。
後から作成する場合でも、作成日は「今日の日付」で正確に記入してください。

貸したお金が返ってこなかった場合、損失として申告できるか?

原則として、個人が個人に貸したお金が返ってこなくなった場合の損失は、所得税の損失として申告することはできません。
ただし、事業として貸付けをしていた場合は、貸倒損失として経費に計上できる可能性があります。

一般的な個人間融資の場合は、損失の申告が難しいため、貸し付ける際の慎重な判断が求められます。

年間110万円以内の融資なら税金はかからないか?

110万円というのは、贈与税の基礎控除額です。
融資の元本金額そのものに対して110万円の基準が適用されるわけではありません。

課税対象になるのは「融資の元本」ではなく「贈与とみなされた経済的利益の金額」です。
ただし、返済の実態がなく元本全体が贈与と認定された場合は、元本が課税対象になります。

過去に無利息・借用書なしで融資をしていた場合どうすればよいか?

まずは今からでも対策を始めることが大切です。
具体的には以下の対応を検討してください。

  1. 今日の日付で金銭消費貸借契約書を作成する
  2. 返済を振込で開始し、記録を残す
  3. 過去の贈与認定リスクについて税理士に相談する

時間が経てば経つほど、説明が難しくなります。
「今からでは遅い」ということはなく、動き出すほど選択肢は増えます。

まとめ

個人間融資は、正しい手続きを踏まえれば税務上も認められる取引です。
しかし、借用書の不備・無利息・返済実績のなさが重なると、贈与と判断されるリスクが高まります。
借り手の贈与税だけでなく、貸し手の所得税・住民税の申告義務も見落とさないようにしてください。

税務上のリスクは、「知らなかった」では回避できません。
金額が大きいほど、相続・不動産取得が絡むほど、専門家のチェックが重要になります。
個人間融資を検討している方、すでに行っている方は、まず契約書と返済記録の整備から始めてみてください。

参考文献

  • 「No.2606 金銭を貸し付けたとき」- 国税庁
  • 「No.4420 親から子に無利息で金銭の貸付けをした場合」- 国税庁
  • 「相続税法第9条(みなし贈与)」- e-Gov法令検索
  • 「親子・夫婦間といった個人間の借入金(貸付金)の利息は支払う必要があるか」- 深作公認会計士事務所
  • 「当事者の違い(個人か法人か)による貸付金(借入金)利息の取扱い」- 深作公認会計士事務所
  • 「みなし贈与とは?個人間のやり取りで該当するケースや対策を解説」- ヴィラージュ税理士法人
  • 「貸したお金(借金)の返済を受けた場合、確定申告は必要ですか?」- 中部法律事務所
  • 「起業資金を家族や友人から調達する場合、税金・法律での注意点は?」- 弥生株式会社
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