「スマホからウイルスが出た」という電話を受けて、戸惑っていませんか。落ち着いてください。それは詐欺の入口です。警視庁や内閣府をかたる電話で、お金を振り込ませる手口が各地で起きています。心当たりのない番号なら、なおさら注意が必要です。
北海道では20代の男性が、この手口で2180万円をだまし取られました。「スマホからウイルスが出た」と言われ、信じてしまったのです。この記事では、事件の中身と手口の流れを整理します。本物との見分け方も、振り込んだ後の動き方も、やさしくお伝えします。
「スマホからウイルスが出た」という電話は詐欺なのか?
結論から先にお伝えします。その電話は詐欺です。スマホからウイルスが出たという連絡を、公的機関が個人にかけることはありません。まずは深呼吸をして、相手の話を信じ込まないことが大切です。ここでは、なぜそう言い切れるのかを順番に見ていきます。
結論:警察・内閣府がそのように電話をかけることはない
警察や内閣府が、いきなり個人に電話をかけてくることはありません。ましてや「ウイルスが出た」「あなたが加害者だ」と告げることもありません。公的機関を名乗る突然の電話は、まず詐欺を疑ってください。
相手は本物らしく振る舞います。役職や部署の名前を、すらすらと口にします。それでも、中身は作り話です。名乗りが立派なほど、かえって怪しいと覚えておくと安心です。
その場で電話を切ってよい理由とは?
不安なまま会話を続けると、相手のペースに飲み込まれます。だからこそ、その場で切ってよいのです。礼儀を気にする必要はありません。詐欺の電話に、丁寧な対応はいりません。
切ったあとで、本当に確認したくなるかもしれません。そのときは、自分で公式の番号を調べてかけ直してください。相手が伝えた番号には、絶対にかけ直さないことがポイントです。
折り返しや個人情報を伝えてはいけない理由とは?
折り返すと、相手は「やはり気にしている」と判断します。そこから話を深めてきます。一度つながった糸は、なかなか切れません。だから最初の接触で断ち切るのが一番です。
口座番号や暗証番号は、誰にも伝えてはいけません。家族構成や資産の話も同じです。電話口で個人情報を聞き出す時点で、相手は詐欺師です。少しでも答えると、次の指示につながってしまいます。
北海道で起きた2180万円被害の事件とは?
2025年、北海道で20代の男性が被害に遭いました。被害額は2180万円です。若い世代でも、ここまでの金額をだまし取られています。どんな流れで11回もの振り込みに至ったのか、わかっている範囲で整理します。
20代男性が11回も振り込んでしまった経緯
男性のもとに、スマホがウイルスに感染したという電話が入りました。話を信じた男性は、相手の指示に従い始めます。一度応じると、次の要求が来ます。それを繰り返すうちに、振り込みは11回にのぼりました。
回数が多いのには理由があります。相手は少しずつ金額を引き出します。一気に大金を求めず、小分けにして警戒を解くのです。気づいたときには、合計が2180万円に達していました。
「警視庁」「内閣府」をかたった具体的なやり取り
電話の相手は、警視庁や内閣府の職員を名乗りました。似た事例では、内閣府サイバーセキュリティセンターの名前も使われています。「あなたの端末が92人に金銭を請求した」といった話法も確認されています。聞いた人は、自分が犯罪に巻き込まれたと感じます。
そこへ「捜査に協力すれば証明できる」と持ちかけます。協力の名目で、資産の確認や振り込みを求めるのです。公的機関の名前は、相手を信じさせるための道具にすぎません。
若い世代でも被害に遭ってしまった背景
詐欺は高齢者だけの問題と思われがちです。けれども、この事件の被害者は20代でした。スマホやネットに慣れた世代でも、油断はできません。むしろ「自分は引っかからない」という思いが、隙になります。
若い世代は、ネット上のトラブルに敏感です。だから「ウイルス」「加害者」という言葉に反応しやすいのです。詐欺は知識の量ではなく、不安の大きさを突いてくると考えると腑に落ちます。
「警視庁・内閣府をかたる詐欺」の手口の流れとは?
この詐欺には、決まった流れがあります。入口で不安をあおり、信用を作り、最後にお金を奪います。形を知っておけば、途中で気づけます。ここでは段階ごとに、何が起きるのかをほどいていきます。
「ウイルス感染」「あなたが加害者」と不安をあおる入口
最初の一言は、強い不安を生みます。「ウイルスに感染している」「あなたが加害者になっている」という内容です。人は不安になると、冷静さを失います。相手はその瞬間を待っています。
入口で動揺すれば、相手の言葉を疑えなくなります。だから入口こそ一番危ないのです。最初の電話で「おかしい」と感じたら、その直感が正解です。
LINEやビデオ通話で偽の警察手帳を見せる演出
会話が進むと、LINEへの移動を促されます。そこでビデオ通話につなぎます。画面には、警察官の制服や手帳らしきものが映ります。本物に見えるため、信用してしまいます。
しかし、本物の捜査がLINEで進むことはありません。見えているものは、すべて演出です。画面に手帳が映っても、それは信用の根拠になりません。
「資産確認」名目で全額を振り込ませる最終段階
信用させたあと、相手は資産の話を始めます。「悪用されていないか確認する」と言います。そして「いったん全額を預けてほしい」と求めてきます。指定の口座へ振り込ませるのが狙いです。
ここが最後の段階です。お金が動けば、取り戻すのは難しくなります。「確認のために送ってください」は、詐欺の決まり文句だと覚えておいてください。
なぜ公的機関の名前を出されると信じてしまうのか?
冷静なときなら、すぐに見抜けるはずです。それでも被害が起きます。理由は、相手が人の心理を巧みに使うからです。ここでは、信じ込んでしまう仕組みを3つの角度から見ていきます。
権威ある機関名で信頼させる心理の仕組み
警察や内閣府と聞くと、人は身構えます。逆らってはいけない、と感じるからです。この反応を相手は利用します。権威の名前で、判断を止めさせるのです。
名前が立派なほど、疑う気持ちは薄れます。けれど、本物の機関は名前で人を従わせません。権威を盾に急かす相手ほど、本物から遠いのです。
「誰にも話すな」と孤立させる誘導の狙い
相手はよく「誰にも話さないで」と言います。「捜査上の秘密だから」と理由をつけます。これは、あなたを一人にするための言葉です。相談されると、嘘が崩れるからです。
家族や警察に話せば、すぐに見抜かれます。だから相手は孤立を求めます。「他言無用」と言われたら、それこそ誰かに相談する合図です。
緊急性を作り冷静な判断を奪う話法
「今すぐ」「今日中に」と、相手は時間を区切ります。急がされると、人は考える余裕を失います。落ち着いて調べれば気づくことも、見えなくなります。これが相手の思うつぼです。
本当に大切な手続きほど、時間に余裕があります。「今すぐ」と迫られたら、いったん止まるのが正解です。焦りを感じた瞬間こそ、電話を切る合図です。
本物の警察・内閣府はこんな電話をしないって本当?
見分けのコツは、本物の行動を知ることです。本物がしないことを相手がしていれば、それは偽物です。ここでは、公的機関が決してとらない行動を3つ挙げます。覚えておくと、その場で判断できます。
電話で現金の振り込みや送付を求めない
警察も内閣府も、電話でお金を求めません。振り込みも、現金の郵送も指示しません。これは例外のないルールです。お金の話が出た時点で、相手は偽物です。
「保証する」「預かる」という言葉も同じです。公的機関が個人のお金を預かることはありません。お金を動かす指示が出たら、即座に詐欺と判断してください。
LINEやビデオ通話で捜査を進めない
本物の捜査は、LINEで進みません。ビデオ通話で手帳を見せることもありません。連絡が来るとすれば、正式な書面や対面です。やり取りがアプリに移った時点で、疑ってください。
アプリへの誘導は、相手が記録を残したくないからです。LINEへ移そうとする電話は、詐欺の典型です。
内閣府サイバーセキュリティセンターが個人に解析費用を請求しない理由
内閣府サイバーセキュリティセンターは、政府の組織です。個人のスマホを解析して、費用を請求することはありません。情報処理推進機構なども同じです。個人に金銭を求める仕組み自体がないのです。
「解析費用」「保険料」といった名目も作り話です。聞こえは公的でも、中身は架空の請求です。公的機関を名乗る費用請求は、すべて疑ってよいと考えてください。
「+」から始まる国際電話番号が使われる理由とは?
最近の手口では、国際電話が入口になります。「+」から始まる番号です。なぜ海外からかけてくるのでしょうか。番号の見方を知れば、出る前に防げます。ここで仕組みを整理します。
国際電話番号からの着信が急増している背景
詐欺グループは、海外を拠点にすることがあります。そのため、着信が国際電話番号になります。身に覚えのない国際電話は、全国で増えています。多くが詐欺に結びついています。
普通に暮らしていて、海外から急に電話が来ることはまれです。だから不自然さに気づけます。心当たりのない国際電話は、出ないのが安全です。
心当たりのない番号に出ない・折り返さない判断
知らない国際番号からの着信は、出なくて構いません。折り返す必要もありません。大切な用件なら、別の手段で連絡が来ます。無視しても困ることはほとんどありません。
「もし本当の用事だったら」と心配になるかもしれません。その場合でも、相手が名乗った組織を自分で調べてください。折り返しは、相手の番号ではなく公式の番号へ。
国際電話の着信を制限する設定方法
そもそも国際電話を受けないようにする方法もあります。電話会社には、国際電話の発着信を止めるサービスがあります。使う予定がなければ、停止しておくと安心です。申し込みは電話会社の窓口でできます。
スマホ側でも、知らない番号を自動で振り分ける設定があります。入口をふさげば、被害の芽を断てるのです。家族の端末もあわせて確認しておくとよいでしょう。
振り込んでしまった・話してしまったときの対処法とは?
もし応じてしまっても、あきらめないでください。早く動けば、被害を抑えられることがあります。大切なのは、すぐに相談することです。ここでは、いますぐ取れる行動を順番に紹介します。
まず警察相談専用電話「#9110」へ連絡する
詐欺かもしれないと感じたら、警察相談専用電話に連絡してください。番号は#9110です。緊急なら110番でも構いません。一人で抱え込まず、まず相談することが先決です。
相談はためらわなくて大丈夫です。「もしかして」の段階でも受け付けてくれます。早い相談ほど、その後の手立てが増えると覚えておいてください。
振込先の金融機関に連絡して組戻しを依頼する
お金を振り込んだ場合は、すぐに金融機関へ連絡します。状況によっては、組戻しの手続きができます。口座が止められれば、被害金が守られることもあります。時間との勝負です。
連絡が早いほど、間に合う可能性が上がります。振り込んだと気づいたら、その瞬間に金融機関へ。振込先や時刻をメモしておくと、手続きがスムーズです。
家族や周囲に共有して二次被害を防ぐ
被害に気づいたら、家族にも伝えてください。恥ずかしさから黙ってしまう人がいます。けれど、隠すと相手の思うつぼです。共有することで、追加の被害を止められます。
同じ相手から、再び連絡が来ることもあります。事前に共有しておけば、家族が代わりに気づけます。情報を分け合うことが、次の被害を防ぐ盾になります。
被害に遭わないための予防策とは?
最後に、ふだんからできる備えをまとめます。難しいことは必要ありません。小さな習慣で、被害はぐっと減ります。ここでは、今日から始められる3つの工夫を紹介します。
電話でお金の話が出たら一度切って確認する
お金や個人情報の話が出たら、いったん電話を切ってください。その場で判断しないことが肝心です。切ってから、家族や警察に確認します。この一手間が、被害を防ぎます。
相手は「切らないで」と引き止めるかもしれません。それこそ、切るべき合図です。お金の話で引き止める相手は、まず疑うと決めておきましょう。
高齢の家族・若い家族と手口を事前に共有する
詐欺は年齢を問いません。高齢の家族にも、若い家族にも伝えてください。手口を知っていれば、いざというとき思い出せます。家族で合言葉を決めておくのも有効です。
電話のそばに、注意点を書いた紙を置く方法もあります。次のようなメモが役立ちます。
【この電話、大丈夫?】
・警察、内閣府はお金を求めません
・「ウイルス」「加害者」は詐欺の言葉
・お金の話が出たら一度切る
・困ったら #9110 へ電話
紙が目に入るだけで、冷静さを取り戻せます。見える場所に注意書きを置くことが、地味でも効きます。
公的機関の正規の連絡先を自分で調べて確認する
相手が伝えた番号は、信用しないでください。公式サイトや電話帳で、自分で番号を調べます。そのうえでかけ直せば、相手の嘘が見抜けます。手間ですが、確実な方法です。
正規の窓口なら、丁寧に確認に応じてくれます。確認は、必ず自分で調べた番号から。この習慣があれば、偽の連絡に振り回されません。
同じ手口の被害は全国で広がっているのか?
北海道の事件は、特別なものではありません。似た被害が、各地で報告されています。手口にも共通点があります。全国の動きを知れば、身近な危険として備えられます。
富山・北海道など各地で確認される共通点
富山県では、内閣府サイバーセキュリティセンターをかたる事例が確認されています。「端末がウイルスに感染した」「92人に請求した」という話法が使われました。北海道の事件と、入口がよく似ています。地域は違っても、台本は同じです。
つまり、同じグループが各地で動いている可能性があります。手口が似ているのは、組織的に行われている証拠といえます。だからこそ、どこに住んでいても油断はできません。
被害額が高額化している背景
近年は、一件あたりの被害額が大きくなっています。資産をすべて確認するという名目で、全額を狙うからです。北海道の2180万円も、その流れの中にあります。少額で済まないのが、いまの特徴です。
相手は時間をかけて信用を作ります。そのぶん、引き出す金額も膨らみます。高額化の背景には、入念に練られた話法があります。
公的機関が出している注意喚起の内容
警察庁や各都道府県警は、繰り返し注意を呼びかけています。内容は「国際電話に出ない」「その場で決めない」「家族や警察に相談する」です。シンプルですが、効果は確かです。公式の呼びかけに沿うのが近道です。
注意喚起は、最新の手口に合わせて更新されます。公式情報を時々確認するだけでも、備えになります。住んでいる地域の警察サイトを見ておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
本当にスマホがウイルスに感染している可能性はある?
電話だけで、感染が判明することはありません。第三者が外から、あなたのスマホの状態を知るすべはないからです。「感染している」という電話は、不安をあおる口実です。本気で心配なら、契約している正規のサポートに自分で問い合わせてください。
「+」から始まる電話番号は無視してよい?
心当たりがなければ、無視して構いません。海外から急に電話が来ることは、めったにありません。大切な用件なら、別の手段で連絡が来ます。気になる場合も、折り返さずに発信元を調べるのが安全です。
警視庁や内閣府が個人に電話してくることは一切ない?
突然の電話で、お金や個人情報を求めることはありません。捜査がLINEやビデオ通話で進むこともありません。確認したいときは、公式サイトに載った番号へ自分でかけ直してください。相手が伝えた番号は使わないでください。
一度振り込んだお金は取り戻せる?
状況によっては、取り戻せる場合があります。鍵になるのは、気づいてからの早さです。すぐに金融機関へ連絡すれば、口座が止められることがあります。あわせて#9110へ相談し、指示に従ってください。
高齢者以外も狙われているの?
狙われています。北海道の事件では、被害者は20代でした。ネットに慣れた世代も例外ではありません。「自分は大丈夫」という思いが、かえって隙になります。年齢に関わらず、手口を知っておくことが大切です。
まとめ
「スマホからウイルスが出た」という電話は、詐欺の入口です。警視庁や内閣府をかたる相手が、不安をあおってお金を奪います。北海道では20代の男性が2180万円を失いました。お金や個人情報の話が出たら、その場で電話を切ってください。困ったときは#9110へ相談しましょう。
最近は、こうした電話だけでなく、偽のショートメッセージから誘導する手口も増えています。家族の連絡先になりすますケースも報告されています。電話に限らず、身に覚えのない連絡には共通の用心が役立ちます。今日できる一歩として、家族と合言葉を決めてみてください。番号の確認は、必ず自分で調べた連絡先から行う。その習慣が、あなたと家族を守ります。
参考文献
- 「サポート詐欺対策」-「警察庁」
- 「特殊詐欺対策(SOS47)発生状況」-「警察庁」
- 「スマホで詐欺被害にあわないために。スマホ防犯教室」-「警視庁」
- 「特殊詐欺事件発生状況」-「北海道警察」
- 「令和7年 特殊詐欺事件発生状況」-「北海道(環境生活部くらし安全局)」
- 「情報処理推進機構(IPA)を騙った不審な電話等に注意してください」-「都道府県警察サイバー犯罪対策課」
- 「週間犯罪情報(内閣府サイバーセキュリティセンターをかたる事例)」-「富山県警察」