お金のコラム

個人間融資の時効は何年?5年と10年の違いと援用の手続きを解説

個人間融資の時効は何年?5年と10年の違いと援用の手続きを解説 お金のコラム

友人や知人からお金を借りたまま、何年も経ってしまった。あるいは貸したお金が返ってこないまま、時間だけが過ぎている。そんなとき気になるのが個人間融資の時効です。個人間融資の時効は、借りた時期によって原則5年または10年と決まっています。ただし期間が過ぎれば自動的に消えるわけではありません。

この記事では、時効期間の数え方から援用の手続き、うっかり時効をリセットしてしまう危険な行動まで、順を追って説明します。借りた側にも貸した側にも役立つ内容です。自分のケースがどうなるのか、確かめながら読み進めてください。

  1. 個人間融資の時効とは?借金が消える仕組み
    1. 消滅時効とはどんな制度?
    2. なぜ時間の経過で返済義務がなくなるのか
    3. 期間が過ぎても自動では成立しない理由
  2. 個人間融資の時効は何年?5年と10年の違いとは?
    1. 2020年4月1日以降に借りた場合は原則5年
    2. 2020年3月31日以前に借りた場合は原則10年
    3. 5年か10年か判断に迷うケースの考え方
  3. 時効はいつから数える?起算点の考え方とは?
    1. 返済期日を決めていた場合の数え方
    2. 返済期日を決めていなかった場合の数え方
    3. 分割返済の途中で滞納した場合の数え方
  4. 借用書がない個人間融資の時効はどうなる?
    1. 口約束の貸し借りでも時効は成立するのか
    2. 借用書がない場合に起算点を確認する方法
    3. 貸し借りの事実が「言った言わない」で争いになる理由
  5. 時効期間がリセットされる「時効の更新」とは?
    1. 裁判や支払督促を起こされた場合
    2. 財産の差押え・仮差押えを受けた場合
    3. 一部返済や支払猶予の依頼が「債務の承認」になる場合
  6. 時効の完成が一時的に止まる「完成猶予」とは?
    1. 催告(請求書・内容証明)による6ヶ月の猶予
    2. 協議を行う旨の合意による猶予
    3. 裁判手続きが進行している間の猶予
  7. 時効を成立させる「時効の援用」とは?
    1. 時効の援用とは何をすることか
    2. 内容証明郵便で援用通知を送る流れ
    3. 援用しないまま放置するとどうなるか
  8. 個人間融資の時効でやりがちな失敗とは?
    1. 督促に慌てて少額だけ返済してしまった
    2. 「もう少し待ってほしい」と伝えてしまった
    3. 裁判所からの書類を無視してしまった
  9. SNSやネット掲示板の個人間融資にも時効はある?
    1. SNS個人間融資が危険とされる理由
    2. 違法な高金利で借りた場合の返済義務と時効の関係
    3. 被害に遭ったときの相談先
  10. 貸した側が時効を防ぐにはどうすればいい?
    1. 時効の完成を止めるためにできる手続き
    2. 内容証明と裁判手続きの使い分け
    3. 時効完成が迫っているときに相談すべき専門家
  11. 時効が成立しているか確認・相談する方法とは?
    1. 自分のケースを確認する手順
    2. 弁護士・司法書士に依頼するメリット
    3. 時効が無理な場合の選択肢(債務整理)
  12. 個人間融資の時効に関するよくある質問(FAQ)
    1. 家族や恋人からの借金にも時効はありますか?
    2. 時効を援用すると相手に訴えられませんか?
    3. 利息にも時効は適用されますか?
    4. 相手と連絡が取れないまま時効期間が過ぎたらどうなりますか?
    5. 時効の援用は自分でできますか?費用はいくらかかりますか?
  13. まとめ
    1. 参考文献

個人間融資の時効とは?借金が消える仕組み

そもそも時効とは何なのか。ここが曖昧なままだと、後の話がすべてぼやけてしまいます。まずは消滅時効という制度の基本と、期間が過ぎても自動では成立しない理由を押さえておきましょう。

消滅時効とはどんな制度?

消滅時効とは、権利を長期間使わないでいると、その権利が消滅する制度です。お金の貸し借りに当てはめると、こうなります。貸した側が請求しないまま一定期間が過ぎると、返してもらう権利が消えるのです。

根拠は民法166条にあります。個人間融資にも消滅時効は適用されます。友人同士や家族間の貸し借りだから対象外、ということはありません。

なぜ時間の経過で返済義務がなくなるのか

不思議に感じるかもしれません。借りたものは返すのが当然だからです。それでも時効が存在するのには理由があります。

1つは、長く続いた事実状態を尊重するためです。もう1つは、古い貸し借りは証拠が失われやすいためです。10年前の返済を証明しろと言われても、記録が残っていないことは珍しくありません。権利の上に眠る者は保護しない。法律はそういう考え方に立っています。

期間が過ぎても自動では成立しない理由

ここが最大の誤解ポイントです。5年や10年が経過しても、借金は勝手に消えません。時効の完成には「援用」という意思表示が必要です

援用とは、時効の利益を受けますと相手に伝える手続きのことです。これをしない限り、返済義務は法律上残り続けます。期間の経過は、あくまで時効を主張できる状態になっただけ。この違いは後のセクションで詳しく説明します。

個人間融資の時効は何年?5年と10年の違いとは?

結論からいうと、時効期間は借りた時期で変わります。分かれ目は2020年4月1日です。この日に改正民法が施行され、ルールが大きく変わりました。自分の借入がどちらに当たるか、ここで確認してください。

2020年4月1日以降に借りた場合は原則5年

2020年4月1日以降の貸し借りには、改正後の民法166条1項が適用されます。ルールは2本立てです。

基準 期間
債権者が権利を行使できると知った時から 5年
権利を行使できる時から 10年

このうち早く到来した方で時効が完成します。個人間の貸し借りでは、貸した側は返済期日を自分で決めています。つまり「いつ請求できるか」を最初から知っている状態です。そのため2020年4月1日以降の個人間融資は、原則5年で時効期間が満了します

2020年3月31日以前に借りた場合は原則10年

2020年3月31日以前の貸し借りには、改正前の民法が適用されます。旧民法167条1項では、個人からの借金の時効期間は権利を行使できる時から10年でした。

つまり2020年3月より前に借りたお金は、いまでも10年ルールで動いています。改正で5年に縮まったと勘違いしやすい部分です。施行日より前の契約には、新しいルールは遡って適用されません。

5年か10年か判断に迷うケースの考え方

実際には判断が割れるケースもあります。たとえば返済期日を決めていなかった場合です。貸した側が「いつから請求できるか知らなかった」といえる特別な事情があれば、10年の基準が生きてきます。

迷ったときの安全な考え方は1つです。短い方の期間だけを頼りに判断しないこと。5年経ったから大丈夫と決めつけると、実は10年基準だったという事態もあり得ます。借入時期と返済条件の2点をセットで確認してください。

時効はいつから数える?起算点の考え方とは?

時効期間が5年でも10年でも、どこから数えるかを間違えると計算がすべて狂います。カウント開始日のことを起算点と呼びます。個人間融資では返済条件の決め方によって起算点が変わるため、パターン別に見ていきましょう。

返済期日を決めていた場合の数え方

「来年の3月末までに返す」のように期日を決めていた場合は、シンプルです。起算点は返済期日の翌日です。期日が来て初めて、貸した側は請求できる状態になるからです。

たとえば2021年3月31日が返済期日なら、2021年4月1日からカウントが始まります。原則5年なら、2026年4月1日の経過で時効期間が満了する計算です。

返済期日を決めていなかった場合の数え方

友人間の貸し借りでは、期日を決めないことがよくあります。この場合、貸した側は理屈のうえでは貸したときから請求できる状態です。そのため起算点は貸付日を基準に考えます。

ただし口約束だけだと、貸付日そのものが曖昧になりがちです。振込記録やメッセージの履歴など、日付を特定できる材料を探してください。起算点が特定できなければ、時効の計算は始められません。

分割返済の途中で滞納した場合の数え方

毎月少しずつ返す約束だった場合は、注意が必要です。起算点は最終返済日そのものではありません。残額を一括請求できる状態になった日の翌日が起算点です

分割払いの契約には「滞納したら残りを一括で払う」という取り決めが付くことがあります。これを期限の利益の喪失と呼びます。一括請求できるようになった時点で、貸した側の権利行使が可能になるからです。最終返済日と混同しやすいので気をつけてください。

借用書がない個人間融資の時効はどうなる?

個人間の貸し借りは、書面を交わさないまま行われることが少なくありません。借用書がないと時効はどうなるのか。結論として時効は成立し得ますが、別の問題が立ちはだかります。証明の壁です。

口約束の貸し借りでも時効は成立するのか

成立します。お金の貸し借りの契約は、口頭でも有効に成立するからです。契約が有効なら、その債権には消滅時効も適用されます。

借用書の有無は、時効が成立するかどうかとは関係ありません。影響するのは、時効の前提となる事実をどう証明するかという点です。ここを混同しないようにしてください。

借用書がない場合に起算点を確認する方法

書面がなくても、手がかりは残っていることが多いものです。次のような記録を探してみてください。

  • 銀行振込の明細や通帳の記録
  • LINEやメールで返済に触れたやり取り
  • 最後に返済した日の送金履歴
  • 貸し借りの場に同席した人の記憶

日付を客観的に特定できる資料が1つあるだけで、起算点の判断は大きく前進します。逆に何も残っていない場合、時効の主張は不安定になります。

貸し借りの事実が「言った言わない」で争いになる理由

借用書がない貸し借りでは、そもそも「貸したのか、あげたのか」から争いになることがあります。貸した側は貸付だと主張し、借りた側は贈与だったと反論する。よくある構図です。

さらに最終返済日がいつだったかでも意見が食い違います。時効の起算点が動けば、完成時期も動くからです。記録がないほど、双方の記憶だけが頼りになり、争いは長引きます。個人間融資のトラブルが感情的にこじれやすいのは、この構造が原因です。

時効期間がリセットされる「時効の更新」とは?

時効期間は、ただ待っていれば必ず満了するものではありません。途中で特定の出来事があると、それまでの経過期間がゼロに戻ります。これが時効の更新です。どんな行動がリセットにつながるのか、3つの代表例を見ていきます。

裁判や支払督促を起こされた場合

貸した側が裁判を起こすと、時効の進行は止まります。そして判決が確定すると、時効は更新されて新たにカウントが始まります。

しかも民法169条により、判決で確定した権利の時効期間は10年に延長されます。もともと5年の債権でも、判決確定後は10年です。支払督促という簡易な手続きでも、確定すれば同じ効果が生じます。裁判所からの書類を軽く見てはいけない理由がここにあります。

財産の差押え・仮差押えを受けた場合

強制執行、つまり差押えが行われた場合も時効は更新されます。給与や預金口座が差し押さえられるケースが典型です。

仮差押えの場合は少し扱いが異なります。仮差押えは時効の完成を一時的に止める「完成猶予」の効果を持ちます。いずれにしても、財産に対する法的手続きが始まった時点で、時効の完成は遠のくと考えてください。

一部返済や支払猶予の依頼が「債務の承認」になる場合

もっとも見落とされやすいのがこれです。借金の存在を認める行動をとると、債務の承認として時効が更新されます。民法152条に定めがあります。

具体的には次のような行動が該当します。

  • 借金の一部だけ返済する
  • 「もう少し待ってほしい」と支払猶予を頼む
  • 分割払いの相談を持ちかける
  • 利息だけ支払う

たとえ1,000円の返済でも、承認としてカウントはゼロに戻ります。督促に慌てて少額を払う。これが一番典型的な失敗パターンです。

時効の完成が一時的に止まる「完成猶予」とは?

更新と似て非なる制度が、完成猶予です。こちらはカウントがゼロに戻るのではなく、一定期間だけ時効の完成が先送りされます。貸した側が時効阻止のために使う手段でもあるため、仕組みを知っておいて損はありません。

催告(請求書・内容証明)による6ヶ月の猶予

催告とは、裁判外で支払いを請求することです。内容証明郵便で請求書を送るのが代表例です。民法150条により、催告から6ヶ月間は時効が完成しません

ただし催告を繰り返しても、猶予は延長されません。再度の催告に猶予の効果はないと条文に明記されています。催告はあくまで、裁判などの本格的な手続きに移るまでの時間稼ぎという位置づけです。

協議を行う旨の合意による猶予

2020年の改正で新設された制度です。当事者同士が「話し合いで解決しましょう」と書面で合意すると、時効の完成が猶予されます。

以前は時効完成が迫ると、話し合いの途中でも裁判に踏み切るしかありませんでした。関係が壊れやすい構造だったわけです。個人間融資は人間関係が絡みます。裁判を避けつつ時効を止められるこの制度は、貸した側にとって使い勝手のよい選択肢です。

裁判手続きが進行している間の猶予

裁判や支払督促、調停などの手続きが進んでいる間も、時効は完成しません。手続きの途中で時効が満了してしまっては、訴えた意味がなくなるからです。

手続きが判決確定まで進めば、前のセクションで触れたとおり時効は更新されます。途中で取り下げた場合でも、終了から6ヶ月間は完成猶予が続きます。手続き中に時効が滑り込みで完成することはない、と覚えておいてください。

時効を成立させる「時効の援用」とは?

期間が満了しただけでは、借金は消えません。最後の仕上げが時効の援用です。ここでは援用の意味と具体的な流れ、そして放置した場合に何が起きるかを説明します。借りた側にとって、この記事の核心部分です。

時効の援用とは何をすることか

援用とは、「時効が完成したので、その利益を受けます」と相手に意思表示することです。民法145条に根拠があります。

なぜ意思表示が必要なのか。時効の利益を受けるかどうかは、本人の意思に委ねられているからです。個人間融資なら、恩義を感じて返したい人もいるでしょう。援用するかどうかを選ぶ権利は、借りた側にあります

内容証明郵便で援用通知を送る流れ

援用は口頭でも法律上は有効です。しかし言った言わないの争いを避けるため、実務では内容証明郵便を使います。おおまかな流れは次のとおりです。

  • 借入日・最終返済日を確認し、時効期間の満了を確かめる
  • 更新事由(承認・裁判など)がなかったかを振り返る
  • 時効援用通知書を作成する
  • 配達証明付きの内容証明郵便で貸した側に送付する

通知書には、貸し借りの特定情報と「消滅時効を援用する」という文言を入れます。判断に迷う要素が1つでもあれば、送付前に弁護士や司法書士へ相談するのが安全です。誤ったタイミングでの通知は、寝ていた債権者を起こす結果にもなりかねません。

援用しないまま放置するとどうなるか

援用せずに放置しても、返済義務は消えません。貸した側から見れば、請求できる状態が続きます。裁判を起こされれば、応じなければならない可能性もあります。

さらに怖いのは、放置中にうっかり債務を承認してしまうことです。時効完成後でも、承認してしまうと援用できなくなる場合があります。判例上、完成後の承認は時効の主張と両立しないと扱われるためです。期間が満了しているなら、援用まで済ませて初めて安心できると考えてください。

個人間融資の時効でやりがちな失敗とは?

制度を知らなかったばかりに、あと一歩で時効を逃す。そんなケースは後を絶ちません。ここでは実際に起こりがちな3つの失敗を取り上げます。自分が同じ状況になったとき、どう動くべきかをイメージしながら読んでください。

督促に慌てて少額だけ返済してしまった

何年も音沙汰がなかった相手から、突然の督促。動揺して「とりあえず1万円だけ」と払ってしまう。これが最悪の一手になり得ます。

前述のとおり、一部返済は債務の承認です。支払った瞬間に時効はリセットされ、カウントはゼロからやり直しになります。久しぶりの督促が来たときほど、支払う前に時効期間を確認してください。慌てて払う前に、まず日付を数える。この順番が重要です。

「もう少し待ってほしい」と伝えてしまった

支払わなくても安心はできません。「今月は厳しいので待ってください」という一言も、債務の承認に当たり得ます。借金の存在を前提にした発言だからです。

電話口でのやり取りは特に危険です。録音されていれば、承認の証拠として残ります。返答に迷ったら、その場で回答せず「確認して連絡します」と保留する。それだけでリスクは大きく下がります。

裁判所からの書類を無視してしまった

裁判所から特別送達という郵便で訴状や支払督促が届くことがあります。怖くて開封せず放置する人がいますが、これは逆効果です。

無視すると、貸した側の主張どおりの判決が確定してしまいます。判決が確定すると時効期間は10年に延び、時効の主張は一気に難しくなります。時効が完成しているなら、裁判の中で援用を主張できます。書類が届いたら、放置せず期限内に対応してください。

SNSやネット掲示板の個人間融資にも時効はある?

近年の個人間融資には、もう1つの顔があります。SNSや掲示板を通じた、見知らぬ個人からの借入です。金融庁も繰り返し注意を呼びかけています。この形態の貸し借りと時効の関係を整理しておきましょう。

SNS個人間融資が危険とされる理由

SNS上には「#個人間融資」などのタグで貸付を持ちかける投稿があります。一見親切に見えても、実態はヤミ金業者であるケースが目立ちます。

個人を装っていても、不特定の相手に反復して貸付を行うには貸金業の登録が必要です。無登録での貸付は貸金業法違反に当たります。法外な利息の請求、個人情報の悪用、性的な関係を求める「ひととき融資」といった被害も報告されています。SNS経由の借入は、通常の貸し借りとは別次元のリスクを抱えています

違法な高金利で借りた場合の返済義務と時効の関係

利息制限法の上限を超える利息の約定は、超過部分が無効です。さらに出資法の上限を大きく超える暴利での貸付は、契約自体の効力が否定されることがあります。

つまり違法性の強い貸付では、時効を待つまでもなく支払義務が争える場合があるのです。時効の計算より先に、その契約が有効かどうかを確認する。SNS融資ではこの順番で考えてください。判断には法的知識が必要なので、自己判断は禁物です。

被害に遭ったときの相談先

違法な取り立てや高金利の被害に遭ったら、1人で抱え込まないでください。相談先は複数あります。

  • 警察(脅迫的な取り立てを受けている場合)
  • 金融庁の金融サービス利用者相談室
  • 法テラス(経済的に余裕がない場合の法律相談)
  • 消費生活センター
  • ヤミ金対応の実績がある弁護士・司法書士

違法業者への対応は、時効の問題とは切り分けて早めに動くことが重要です。放置するほど被害は広がります。

貸した側が時効を防ぐにはどうすればいい?

ここからは視点を変えます。お金を貸した側にとって、時効は権利を失う脅威です。完成を防ぐ手段は法律に用意されています。期限が迫っているときに何ができるのか、優先順位をつけて整理します。

時効の完成を止めるためにできる手続き

貸した側が取れる手段は、大きく3系統あります。

手段 効果
内容証明での催告 6ヶ月の完成猶予
協議を行う旨の書面合意 合意期間中の完成猶予
裁判・支払督促 確定すれば更新(期間10年に)

もう1つ、相手に債務を承認してもらう方法もあります。返済計画書に署名をもらう、1円でも返済してもらう。それだけで時効は更新されます。関係性を壊さずに済む、現実的な選択肢です。

内容証明と裁判手続きの使い分け

まず内容証明で催告し、6ヶ月の猶予を確保する。その間に話し合いか裁判かを決める。これが基本の流れです。

催告は繰り返しても猶予が延びません。6ヶ月以内に次の一手を打たなければ、時効は完成してしまいます。相手に返す意思があるなら協議の書面合意へ。応じないなら支払督促や訴訟へ。金額が60万円以下なら、少額訴訟という簡易な手続きも使えます。

時効完成が迫っているときに相談すべき専門家

残り期間が1年を切っているなら、専門家への相談を急いでください。相談先は弁護士または司法書士です。

司法書士は140万円以下の請求について代理業務ができます。それを超える場合や訴訟が見込まれる場合は、弁護士が選択肢になります。起算点の判断や更新事由の有無は、素人判断で誤りやすい論点です。自分で計算した残り期間が正しいか、確認してもらうだけでも価値があります。

時効が成立しているか確認・相談する方法とは?

最後に、借りた側が自分のケースを確かめる手順をまとめます。時効が使えるのか、使えないなら他にどんな道があるのか。ここまでの内容を実際の行動に落とし込んでいきましょう。

自分のケースを確認する手順

確認は次の順番で進めると迷いません。

  • 借入日を特定する(2020年4月1日の前か後か)
  • 返済期日の有無と最終返済日を確認する
  • 起算点から5年または10年が経過しているか数える
  • 期間中に一部返済や猶予の依頼をしていないか振り返る
  • 裁判所からの書類を受け取っていないか確認する

1つでも更新事由があれば、そこからカウントはやり直しです。同居家族が裁判所の書類を受け取っていた可能性も含めて、丁寧に思い出してください。

弁護士・司法書士に依頼するメリット

援用通知は自分でも送れます。それでも専門家に依頼する意味は十分にあります。

まず、時効が本当に完成しているかの判断を誤らずに済みます。次に、貸した側とのやり取りを代理してもらえます。本人が直接対応して、うっかり債務を承認してしまうリスクを遮断できるわけです。個人間融資は相手が知人であることも多く、直接交渉は感情的になりがちです。第三者を挟む効果は小さくありません。

時効が無理な場合の選択肢(債務整理)

確認の結果、時効がまだ完成していないこともあるでしょう。その場合、返済が苦しいなら債務整理という道があります。

手続き 内容
任意整理 話し合いで返済条件を見直す
個人再生 裁判所を通じて借金を大幅に減額する
自己破産 裁判所に返済不能を認めてもらい免除を受ける

時効だけが解決策ではありません。完成を待つ間に裁判を起こされるリスクを考えれば、早めに整理へ動く方が負担の総量は小さくなることもあります。

個人間融資の時効に関するよくある質問(FAQ)

ここまでの内容を踏まえて、個人間融資の時効について特に多い疑問に答えます。細かいけれど気になるポイントばかりです。自分の状況と照らし合わせて確認してください。

家族や恋人からの借金にも時効はありますか?

あります。親子や恋人同士の貸し借りも、法律上は通常の金銭消費貸借です。時効期間も同じルールで、借入時期に応じて5年または10年です。

ただし家族間では、そもそも貸付なのか援助(贈与)なのかが曖昧になりがちです。貸付と認められて初めて、時効の議論が始まります。この前提部分で争いになるケースが目立ちます。

時効を援用すると相手に訴えられませんか?

時効が有効に完成していれば、援用後に訴えられても支払義務は認められません。援用は法律で認められた正当な権利行使です。

一方で、時効の完成に争いがある場合は話が変わります。更新事由の有無をめぐって裁判になる可能性は残ります。援用前に完成の確実性を検証しておくことが、訴訟リスクを下げる最善策です

利息にも時効は適用されますか?

適用されます。利息の支払いを約束していた場合、利息債権にも消滅時効があります。元本と同じく、借入時期に応じた期間で考えます。

注意点が1つあります。利息だけを支払う行為も債務の承認に当たります。利息の支払いで元本の時効までリセットされます。「利息だけなら」という支払いは避けてください。

相手と連絡が取れないまま時効期間が過ぎたらどうなりますか?

貸した側と連絡が取れなくても、時効期間は進行します。期間が満了すれば、援用できる状態になります。

援用通知の送付先が分からない場合は、住民票の調査などで住所を特定する方法があります。専門家に依頼すれば、職務上の権限で住所調査が可能です。連絡が取れないことを理由に、援用を諦める必要はありません。

時効の援用は自分でできますか?費用はいくらかかりますか?

自分でもできます。内容証明郵便の実費は数千円程度です。書式さえ整えれば、手続き自体は難しくありません。

専門家に依頼する場合、司法書士で数万円前後、弁護士でそれ以上が一般的な目安です。費用を惜しんで判断を誤ると、失うものの方が大きくなります。更新事由の有無に少しでも不安があるなら、依頼を検討する価値があります。

まとめ

個人間融資の時効は、2020年4月1日を境に原則5年と10年に分かれます。期間の経過だけでは足りず、援用という意思表示があって初めて借金は消滅します。一部返済や支払猶予の依頼が時効をリセットすること、判決確定で期間が10年に延びること。この2点を知っているかどうかで、結果は大きく変わります。

本文では触れませんでしたが、時効を援用しても個人間の貸し借りは信用情報機関に登録されていないため、いわゆるブラックリストとは基本的に無関係です。ただし貸した相手との人間関係には影響が残ります。法律上の決着と感情面の整理は別問題です。まずは借入日と最終返済日を書き出し、自分の時効期間を計算するところから始めてください。判断に迷う要素が1つでもあれば、法テラスや専門家の無料相談を利用するのが確実です。

参考文献

  • 「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」-法務省
  • 「民法(e-Gov法令検索)」-デジタル庁 e-Gov
  • 「SNS等を利用した個人間融資にご注意ください!」-金融庁
  • 「多重債務・借金に関する相談窓口」-日本司法支援センター(法テラス)
  • 「個人間融資のトラブル」-国民生活センター