お金のコラム

個人間のお金の貸し借りは違法?利息上限・借用書と7つの注意点

個人間のお金の貸し借りは違法?利息上限・借用書と7つの注意点 お金のコラム

友人や家族との個人間のお金の貸し借りは、法律的に問題ないのか気になりますよね。結論からいうと、個人同士の貸し借り自体は違法ではありません。ただし利息の上限や借用書の作り方など、知らないと損をするルールがいくつもあります。

この記事では、個人間のお金の貸し借りに関わる法律、利息の上限、借用書の書き方、贈与税、返済されないときの回収方法までを整理しました。貸す側と借りる側、どちらの立場でも役立つ内容です。2026年時点で有効な情報をもとに解説します。

  1. 個人間のお金の貸し借りは違法になる?
    1. 家族・友人同士の貸し借りが違法にならない理由とは?
    2. 貸金業登録が必要になるのはどんなケース?
    3. SNS・掲示板の「個人間融資」が問題視される理由とは?
  2. 個人間の貸し借りに適用される法律とは?
    1. 利息制限法とは?元本額ごとの上限金利
    2. 出資法とは?年109.5%超で刑事罰の対象
    3. 貸金業法が個人間の貸し借りに適用されない理由とは?
  3. 個人間の利息はいくらまで設定できる?
    1. 利息の取り決めがない場合は無利息が原則?
    2. 上限金利を超えた利息の超過部分はどうなる?
    3. 遅延損害金にも上限はある?
  4. 借用書はなぜ必要?口約束のリスクとは?
    1. 口約束だけの貸し借りで起こるトラブルとは?
    2. 借用書がなくても返済請求はできる?
    3. 銀行振込・LINE履歴は証拠になる?
  5. 借用書・金銭消費貸借契約書の書き方とは?
    1. 借用書に必ず書くべき項目とは?
    2. 借用書と金銭消費貸借契約書の違いとは?
    3. 収入印紙は必要?金額別の印紙税
  6. 公正証書にするメリットとは?
    1. 強制執行認諾文言とは?裁判なしで差し押さえできる仕組み
    2. 公正証書作成の流れと費用の目安
    3. 公正証書の作成が向いているのはどんなケース?
  7. 親子・家族間の貸し借りで贈与税がかかるのはどんなとき?
    1. 「ある時払いの催促なし」が贈与とみなされる理由とは?
    2. 贈与と判断されないための返済記録の残し方
    3. 無利息で貸すと課税される?国税庁の考え方
  8. 貸したお金が返ってこないときの回収方法とは?
    1. まず行うべき請求方法は?内容証明郵便の使い方
    2. 支払督促・少額訴訟の違いと選び方
    3. 強制執行(差し押さえ)までの流れ
  9. 個人間の借金に時効はある?何年で消滅する?
    1. 2020年4月の民法改正後は原則5年?
    2. 時効の完成が妨げられる(更新される)行為とは?
    3. 時効の援用とは?主張する際の注意点
  10. 個人間のお金の貸し借りで失敗しない7つの注意点
    1. 1. 貸す前に「返ってこない可能性」を前提に金額を決める
    2. 2. 少額でも必ず借用書や書面を残す
    3. 3. 現金手渡しではなく銀行振込で記録を残す
    4. 4. 利息・返済期日・返済方法を事前に取り決める
    5. 5. 親族間の貸し借りでも返済実績を必ず残す
    6. 6. 高額・長期の貸し借りは公正証書を検討する
    7. 7. 見知らぬ相手とのSNS個人間融資には関わらない
  11. 借りた側が知っておくべきことは?
    1. 返済できなくなったときに最初にすべきことは?
    2. 個人からの過激な取り立てを受けたらどうする?
    3. 債務整理をすると個人間の借金はどうなる?
  12. よくある質問(FAQ)
    1. 借用書なしで貸したお金は取り戻せますか?
    2. 友人への貸し借りに利息をつけるのは失礼にあたりませんか?
    3. 親から住宅資金を借りる場合、いくらまでなら贈与税がかかりませんか?
    4. 10年前に貸したお金はもう請求できませんか?
    5. 貸した相手と連絡が取れなくなった場合はどうすればいいですか?
  13. まとめ
    1. 参考文献

個人間のお金の貸し借りは違法になる?

「そもそも貸し借り自体が法律違反にならないか」という不安は多くの人が最初に抱くものです。ここでは違法にならない条件と、違法になり得るケースの境界線を確認します。自分のケースがどちらに当てはまるか、照らし合わせながら読んでみてください。

家族・友人同士の貸し借りが違法にならない理由とは?

家族や友人など、面識のある相手との1回きりの貸し借りは違法ではありません。民法587条が定める「金銭消費貸借契約」として、法律上も認められた行為です。

契約というと堅苦しく聞こえますが、実は口約束でも契約は成立します。個人間の貸し借りは、貸金業のような登録や許可がなくても自由に行えます。問題になるのは、貸し方や条件が一定のラインを越えたときだけです。

貸金業登録が必要になるのはどんなケース?

個人であっても、営利目的で反復継続してお金を貸す場合は「貸金業」とみなされます。貸金業を営むには、国や都道府県への登録が必要です。

登録せずに繰り返し貸し付けると、貸金業法違反として処罰の対象になります。友人に1度だけ貸すのと、不特定多数に何度も貸すのとでは、法律上の扱いがまったく違うわけです。

SNS・掲示板の「個人間融資」が問題視される理由とは?

SNSや掲示板で見知らぬ相手とお金を貸し借りする「個人間融資」は、金融庁や国民生活センターが注意喚起を続けている分野です。不特定多数への貸付の勧誘は、無登録の貸金業に該当する可能性が高いためです。

さらに、法外な利息の請求や詐欺、個人情報の悪用といった被害も報告されています。身近な人との貸し借りと、SNS経由の個人間融資はまったくの別物と考えてください。

個人間の貸し借りに適用される法律とは?

個人間のお金の貸し借りには、複数の法律が関わります。名前が似ていて混同しやすいのが、利息制限法・出資法・貸金業法の3つです。それぞれの役割と、個人間の貸し借りにどう関係するのかを整理していきます。

利息制限法とは?元本額ごとの上限金利

利息制限法は、利息の上限を定めた法律です。貸金業者だけでなく、個人間の貸し借りにもそのまま適用されます

上限金利は元本の金額によって3段階に分かれています(利息制限法1条)。

元本の金額 上限金利(年)
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

この上限を超えた部分の利息は無効です。友人同士でも、この枠を超える約束はできません。

出資法とは?年109.5%超で刑事罰の対象

出資法は、高金利の貸付を刑事罰で取り締まる法律です。個人間の貸し借りでは、年109.5%を超える利息の契約をすると刑事罰の対象になります(出資法5条1項)。

罰則は5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方です。利息制限法の超過は「民事上無効」、出資法の超過は「犯罪」という違いを押さえておきましょう。

貸金業法が個人間の貸し借りに適用されない理由とは?

貸金業法は、消費者金融などの貸金業者を規制する法律です。規制の対象が業者であるため、1回きりの個人間の貸し借りには基本的に適用されません

ここに個人間ならではの落とし穴があります。貸金業法には取り立て行為の規制がありますが、個人間の貸し借りはその保護の外にあるのです。だからこそ、後述する書面や証拠の準備が重要になります。

個人間の利息はいくらまで設定できる?

「友人への貸付に利息を取ってもいいのか」「いくらまでなら適法なのか」は、貸す側が必ず迷うポイントです。ここでは利息の発生条件、上限を超えた場合の扱い、返済が遅れたときの遅延損害金まで順番に見ていきます。

利息の取り決めがない場合は無利息が原則?

個人間の貸し借りでは、事前に利息の約束をしていなければ無利息が原則です。貸主が後から一方的に「利息を払え」と請求することはできません。

逆にいえば、双方が合意すれば利息を付けるのは自由です。貸す側にとって利息は貸し倒れリスクへの備えになります。取り決める場合は、利率を必ず書面に残しておきましょう。

上限金利を超えた利息の超過部分はどうなる?

利息制限法の上限を超えた利息は、超えた部分だけが無効になります。たとえば15万円を年20%で貸した場合、上限の18%を超える2%分は法的に請求できません。

すでに払いすぎた利息があれば、借主は返還を求めることができます。「個人間だから利息は自由」という思い込みは通用しないと覚えておいてください。

遅延損害金にも上限はある?

返済が遅れたときに発生するのが遅延損害金です。個人間の貸し借りでは、その利率は利息制限法の上限金利の1.46倍までと定められています(利息制限法4条1項)。

たとえば元本10万円未満なら、上限は年29.2%です。ここでも年109.5%を超える設定は刑事罰の対象になります。遅延損害金の定めがなくても、法定利率にもとづいて請求は可能です。

借用書はなぜ必要?口約束のリスクとは?

親しい間柄ほど「借用書なんて水くさい」と感じるものです。しかし個人間のお金の貸し借りのトラブルは、その多くが口約束から始まります。ここでは口約束の危険性と、証拠として使えるものを具体的に見ていきます。

口約束だけの貸し借りで起こるトラブルとは?

口約束でも契約は成立します。問題は、約束の内容を後から証明できないことです。

「いくら借りたか」「いつ返すか」「そもそも借りたのか、もらったのか」。記録がなければ言い分は平行線になります。金額の食い違いや「あれは贈与だった」という主張は、個人間トラブルの典型パターンです。

借用書がなくても返済請求はできる?

借用書がなくても、貸した事実を証明できれば返済請求は可能です。ただし裁判になった場合、貸した側が「お金を渡したこと」と「返す約束があったこと」の両方を証明する必要があります。

証拠がなければ、請求が認められない可能性は高くなります。これから貸すなら書面を作る。すでに貸してしまったなら、今からでも証拠を集める。この2択で考えてください。

銀行振込・LINE履歴は証拠になる?

銀行振込の記録は、お金が動いた事実を示す有力な証拠です。現金手渡しではなく振込を使うだけで、証明力は大きく変わります。

LINEやメールのやり取りも証拠になり得ます。「10万円貸して」「来月返すね」といった会話履歴は、返す約束の存在を裏付けます。すでに口約束で貸してしまった人は、返済に関するメッセージを削除せず残しておきましょう。

借用書・金銭消費貸借契約書の書き方とは?

書面が大事だと分かっても、何をどう書けばいいのか迷いますよね。借用書に決まった書式はありません。ただし、押さえるべき項目は決まっています。ここでは必須項目、契約書との違い、収入印紙の扱いまで実務的に解説します。

借用書に必ず書くべき項目とは?

借用書には、最低限つぎの項目を入れてください。

  • 作成日
  • 貸主・借主の氏名と住所
  • 借りた金額(改ざん防止のため大字や算用数字を明確に)
  • お金を受け取った日
  • 返済期日と返済方法
  • 利息・遅延損害金の有無と利率
  • 借主の署名・押印

「誰が・いくら・いつまでに・どう返すか」が特定できることが借用書の生命線です。テンプレートを使う場合も、この4点が埋まっているか必ず確認しましょう。

借用書と金銭消費貸借契約書の違いとは?

借用書は借主だけが署名し、貸主が保管する形式です。一方、金銭消費貸借契約書は貸主と借主の双方が署名し、1通ずつ保管します。

項目 借用書 金銭消費貸借契約書
作成通数 1通 2通
署名する人 借主のみ 双方
保管 貸主 双方が各1通
向いている場面 少額・短期 高額・長期

金額が大きい場合や返済が長期にわたる場合は、双方が内容を確認できる契約書形式が安心です。

収入印紙は必要?金額別の印紙税

借用書や金銭消費貸借契約書は、印紙税の課税文書にあたります。記載金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。

記載金額 印紙税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
10万円超50万円以下 400円
50万円超100万円以下 1,000円
100万円超500万円以下 2,000円

印紙がなくても契約自体は有効です。ただし貼り忘れは過怠税の対象になるため、作成時に済ませておくのが確実です。

公正証書にするメリットとは?

高額の貸し借りで検討したいのが公正証書です。公証役場で公証人が作成する公文書で、私製の借用書にはない強い効力を持ちます。費用と手間はかかりますが、それに見合う価値があるケースを紹介します。

強制執行認諾文言とは?裁判なしで差し押さえできる仕組み

公正証書の最大の強みは「強制執行認諾文言」を入れられることです。これは「返済が滞ったら強制執行を受けても異議はない」という借主の承諾を指します。

この文言付きの公正証書があれば、裁判を起こさずに給与や預金の差し押さえを申し立てられます。通常なら訴訟で判決を得る必要がある手続きを、大幅に短縮できるわけです。

公正証書作成の流れと費用の目安

作成の流れはシンプルです。貸主と借主の双方で公証役場に行き、本人確認書類と契約内容のメモを提出します。公証人が文書を作成し、双方が署名押印して完成です。

手数料は貸付額によって決まります。100万円以下なら5,000円、200万円以下なら7,000円が目安です。事前に電話予約と内容の打ち合わせをしておくと、当日がスムーズに進みます。

公正証書の作成が向いているのはどんなケース?

すべての貸し借りに公正証書が必要なわけではありません。向いているのは、次のようなケースです。

  • 貸付額が数十万円を超える
  • 返済が数年にわたる分割払い
  • 相手の返済能力に不安がある
  • 過去に返済の遅れがあった相手に貸す

数万円の短期の貸し借りなら、借用書と銀行振込の記録で十分です。金額とリスクに応じて書面の強度を選ぶのが現実的な判断です。

親子・家族間の貸し借りで贈与税がかかるのはどんなとき?

親からの借入で見落とされがちなのが税金です。家族間の貸し借りは、条件次第で税務上「贈与」と判断されます。住宅資金や事業資金など高額になりやすい分、影響も大きくなります。贈与とみなされる条件と対策を確認しましょう。

「ある時払いの催促なし」が贈与とみなされる理由とは?

返済期日を決めず、催促もしない。いわゆる「ある時払いの催促なし」の貸付は、実質的にお金をあげたのと同じとみなされ、贈与税の対象になり得ます。国税庁もこの考え方を示しています(タックスアンサーNo.4420)。

形式上は借金でも、返す実態がなければ贈与と変わりません。税務署は名目ではなく実態で判断します。親子だからこそ、条件を明確にしておく必要があるのです。

贈与と判断されないための返済記録の残し方

貸し借りの実態を示すには、客観的な記録が欠かせません。ポイントは3つです。

  • 借用書または契約書を作成する
  • 返済は銀行振込にして履歴を残す
  • 無理のない返済計画を実際に守る

「書面がある」だけでなく「返済が続いている」ことが重要です。毎月の振込記録が積み重なれば、それ自体が貸し借りの証明になります。

無利息で貸すと課税される?国税庁の考え方

親族間の貸付は無利息でも構いません。ただし厳密には、本来払うべき利息分の利益が贈与とみなされる可能性があります。

実務上は、利息相当額が少額であれば課税されないのが一般的です。高額かつ長期の貸付では、利息制限法の範囲内で低めの利率を設定しておくと安心材料になります。判断に迷う金額なら、税務署や税理士への事前相談が確実です。

貸したお金が返ってこないときの回収方法とは?

返済期日を過ぎても連絡がない。催促してもはぐらかされる。そんなとき、感情的に責めても解決には近づきません。法律にもとづいた回収手段は段階的に用意されています。負担の軽い順に見ていきましょう。

まず行うべき請求方法は?内容証明郵便の使い方

最初のステップは内容証明郵便です。「いつ・誰が・どんな内容の手紙を送ったか」を郵便局が証明してくれる仕組みです。

内容証明そのものに強制力はありません。それでも「本気で回収する意思」が伝わり、これだけで返済に応じるケースは少なくありません。時効の完成を6か月猶予させる「催告」としての効果もあります。

支払督促・少額訴訟の違いと選び方

内容証明で動きがなければ、裁判所の手続きに進みます。代表的なのが支払督促と少額訴訟です。

項目 支払督促 少額訴訟
金額の上限 なし 60万円以下
出廷 不要(書類審査) 原則1回の期日
申立先 相手の住所地の簡易裁判所 簡易裁判所
弱点 異議が出ると通常訴訟へ移行 相手が拒めば通常訴訟へ

相手が争わない見込みなら支払督促、言い分の対立があるなら少額訴訟が目安です。どちらも本人だけで申し立てできます。

強制執行(差し押さえ)までの流れ

判決や仮執行宣言付き支払督促を得ても相手が払わない場合、最終手段が強制執行です。給与・預金・不動産などを差し押さえて、強制的に回収します。

強制執行には「債務名義」と呼ばれる公的な文書が必要です。判決、和解調書、強制執行認諾文言付きの公正証書などがこれにあたります。差し押さえる財産の情報が必要になるため、貸す段階で相手の勤務先や取引銀行を把握しておくと後々役立ちます。

個人間の借金に時効はある?何年で消滅する?

「昔貸したお金はもう請求できないのか」「時効を待てば返さなくていいのか」。時効は貸す側と借りる側の両方に関わる重要テーマです。2020年の民法改正でルールが変わったため、古い知識のままだと判断を誤ります。

2020年4月の民法改正後は原則5年?

2020年4月1日以降に成立した個人間の貸し借りは、返済期日から原則5年で消滅時効にかかります。改正前の「個人間は10年」という情報は、それ以前の契約にしか当てはまりません。

正確には「権利を行使できると知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」の早い方です。返済期日を決めた貸し借りなら、実質的に期日から5年と考えて差し支えありません。

時効の完成が妨げられる(更新される)行為とは?

時効は5年間なにも起きなかった場合に完成します。途中で次のような事実があれば、時効はリセットまたは一時停止します。

  • 借主が借金の一部を返済した
  • 借主が「必ず返します」と債務を認めた
  • 貸主が裁判や支払督促を申し立てた
  • 内容証明などで催告した(6か月の猶予)

一部返済や承認があれば、そこから新たに時効期間が始まります。時効の完成は、思っているほど簡単には成立しないのです。

時効の援用とは?主張する際の注意点

時効期間が過ぎても、借金は自動的には消えません。借主が「時効を主張します」と貸主に伝える「時効の援用」をして初めて、返済義務が確定的になくなります。

援用は通常、内容証明郵便で行います。ただし援用の前にうっかり一部返済すると、時効の主張ができなくなる場合があります。親しい相手への援用は関係の断絶を意味することも多く、実行するかどうかは慎重に判断してください。

個人間のお金の貸し借りで失敗しない7つの注意点

ここまでの内容を、実践できる形に落とし込みます。貸す前・貸した後の両方で効いてくるポイントを7つに絞りました。1つでも実行すれば、トラブルの確率は確実に下がります。

1. 貸す前に「返ってこない可能性」を前提に金額を決める

個人への貸付に審査はありません。返済能力の保証もありません。だからこそ、返ってこなくても生活が揺らがない金額を上限にしてください。

「貸す」と決めた時点で、最悪のケースを織り込んでおく。この心構えがあるだけで、金額の判断も相手への催促も冷静にできます。

2. 少額でも必ず借用書や書面を残す

「たった3万円だから」と書面を省くのは危険です。トラブルの火種に金額の大小は関係ありません。

正式な借用書が難しければ、メモやメッセージでも構いません。「金額・日付・返す約束」が文字で残っていることが、後々の自分を守ります。

3. 現金手渡しではなく銀行振込で記録を残す

手渡しの現金は、渡した事実を証明できません。振込なら、日付と金額の記録が自動的に残ります。

返済も同じです。貸すときも返すときも銀行振込を徹底すれば、双方にとって公平な記録になります。振込手数料は、証拠の保険料と考えましょう。

4. 利息・返済期日・返済方法を事前に取り決める

「いつか返してくれればいいよ」は優しさに見えて、トラブルの入口です。期日がなければ催促のタイミングも曖昧になります。

利息を付けるかどうかも含めて、条件は貸す前にすべて決めるのが鉄則です。決めた内容は借用書に反映させてください。

5. 親族間の貸し借りでも返済実績を必ず残す

家族間の貸付は、贈与税の観点で記録が必要です。借用書の作成と振込による返済をセットで続けましょう。

返済の実態こそが「贈与ではない」ことの証明になります。住宅資金など高額な貸付ほど、この習慣が効いてきます。

6. 高額・長期の貸し借りは公正証書を検討する

数十万円を超える貸付や、数年がかりの分割返済には公正証書が有効です。強制執行認諾文言を入れておけば、万一のとき裁判なしで差し押さえに進めます。

手数料は貸付額100万円以下で5,000円程度です。回収不能リスクと比べれば安い投資といえます。

7. 見知らぬ相手とのSNS個人間融資には関わらない

SNSや掲示板の個人間融資は、貸す側も借りる側もリスクだらけです。法外な利息、先振り込みを求める詐欺、個人情報の悪用などの被害が実際に起きています。

お金に困ったときの相手は、見知らぬ個人ではありません。公的な貸付制度や法テラスなどの相談窓口が、安全な選択肢として用意されています。

借りた側が知っておくべきことは?

ここまでは主に貸す側の視点で解説してきました。借りた側にも、知っておくべき法律知識があります。返済が苦しくなったときの対応次第で、人間関係と生活の両方を守れる可能性が変わります。

返済できなくなったときに最初にすべきことは?

返済が難しいと分かったら、期日前に自分から連絡してください。沈黙と音信不通が、信頼を最も壊します

事情を正直に伝え、減額や期日の延長を相談しましょう。個人間の貸し借りは、業者相手より柔軟な話し合いができるのが利点です。新たな返済計画は口頭で終わらせず、書面やメッセージで残してください。

個人からの過激な取り立てを受けたらどうする?

個人間の取り立てには、貸金業法のような行為規制がありません。だからといって何でも許されるわけではないのです。

深夜の押しかけ、脅迫めいた言動、職場への執拗な連絡。度を越えた取り立ては、脅迫罪や恐喝罪など刑法上の犯罪に該当し得ます。身の危険を感じたら警察へ、交渉が難航するなら弁護士や法テラスに相談してください。

債務整理をすると個人間の借金はどうなる?

自己破産や個人再生などの債務整理は、個人間の借金も対象に含まれます。友人からの借金だけを除外して手続きすることは原則できません。

特定の相手にだけ先に返す「偏頗弁済」は、手続き上問題になる行為です。個人からの借金を抱えたまま債務整理を考えるなら、着手前に弁護士へ相談し、貸主にも事情を説明しておくのが誠実な対応です。

よくある質問(FAQ)

借用書なしで貸したお金は取り戻せますか?

取り戻せる可能性はあります。借用書は証拠の1つであり、唯一の手段ではありません。

振込記録、返済を約束するLINEやメールの履歴、やり取りの録音などが証拠になります。「お金を渡した事実」と「返す約束」の両方を示せるかがポイントです。証拠を整理したうえで、内容証明郵便から始めてみてください。

友人への貸し借りに利息をつけるのは失礼にあたりませんか?

失礼ではありません。利息は貸す側のリスクに対する正当な対価です。

むしろ利率と返済条件を明確にするほうが、お互いの認識のズレを防げます。利息制限法の上限(年15〜20%)の範囲内であれば、法的にも問題ありません。「条件を決める=相手を疑う」ではなく、関係を守るための取り決めと捉えましょう。

親から住宅資金を借りる場合、いくらまでなら贈与税がかかりませんか?

正しく「借入」として扱われていれば、金額にかかわらず贈与税はかかりません。問題は金額ではなく実態です。

借用書を作り、現実的な返済計画を立て、振込で返済を続ける。この3点がそろっていれば、貸し借りとして認められます。逆に返済実態がなければ、少額でも贈与と判断され得ます。なお贈与として受け取る場合は、年110万円の基礎控除や住宅取得等資金の非課税制度という別の選択肢もあります。

10年前に貸したお金はもう請求できませんか?

請求できる可能性は残っています。時効期間が過ぎていても、借主が「時効の援用」をしない限り返済義務は消えません。

2020年3月31日以前の貸し借りなら、時効は10年です。また途中で一部返済や「返します」という発言があれば、そこから時効は再スタートしています。まず貸した時期と最後のやり取りを整理して、あきらめる前に弁護士へ相談してみてください。

貸した相手と連絡が取れなくなった場合はどうすればいいですか?

住所が分かるなら、内容証明郵便で請求の記録を残しましょう。引っ越し先が不明でも、住民票の調査などで追跡できる場合があります。

裁判手続きは、相手が行方不明でも「公示送達」という方法で進められます。個人での対応が難しい段階なので、法テラスの無料相談や弁護士への依頼を検討するタイミングです。時効が迫っている場合は、先に催告で完成を止めておきましょう。

まとめ

個人間のお金の貸し借りは違法ではありません。ただし利息制限法の上限金利、書面と振込記録、親族間なら贈与税への配慮という3つの備えが欠かせません。回収の手段も、内容証明から強制執行まで段階的に用意されています。

今日できる行動は明確です。これから貸すなら借用書のテンプレートを用意し、振込で渡す。すでに貸しているなら、返済に関するメッセージや記録を保全する。返済に悩んでいるなら、期日前に相手へ連絡する。判断に迷う場面では、法テラスの無料相談や自治体の法律相談が使えます。貸し借りの背景に生活費の不足があるなら、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度など公的な仕組みを調べる価値もあります。お金の問題は、証拠と早めの相談で大半が小さいうちに解決できます。

参考文献

  • 「貸金業法のキホン」- 金融庁
  • 「SNS等を利用した個人間融資にご注意ください」- 金融庁
  • 「No.2606 金銭を貸し付けたとき」- 国税庁
  • 「No.4420 親から金銭を借りた場合」- 国税庁
  • 「利息制限法」- e-Gov法令検索
  • 「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」- e-Gov法令検索
  • 「少額訴訟」- 裁判所
  • 「支払督促」- 裁判所
  • 「法テラス(日本司法支援センター)」- 法テラス