「金のネックレスを売るだけ」。SNSでこんな求人を見かけたら、少し立ち止まってください。渡されるネックレスは、金メッキの偽造品かもしれません。警視庁は2026年9月、この詐欺の手口が各地で確認されていると公表しました。
売った本人が詐欺に関わったことになる。ここがこの闇バイトのやっかいな点です。この記事では、偽造品を売らせる手口の流れ、問われる罪、応募後の相談先を整理します。買取店やご家族の立場でできることも紹介します。
「金のネックレスを売るだけ」のバイトとは?
結論から言うと、このバイトは仕事ではありません。偽造品を買取店に売らせる、詐欺の実行役を集める募集です。応募した人は、渡された品物が偽物だと知らされていません。それでも店に持ち込むのは応募者本人です。まずは警視庁の発表内容から見ていきましょう。
警視庁は何を発表したのか?
警視庁は2026年9月17日までに、偽造された金製品の持ち込みが全国で相次いでいると発表しました。使われたのは、18金と比重が近い金属に金メッキをかけたネックレスなどです。
背後には匿名・流動型犯罪グループ、通称トクリュウがいるとみられています。グループは自分では店に行きません。SNSで集めた応募者に売却させています。売りに行く人と、もうけを得る人が別。これがこの手口の骨組みです。
どんな文言で募集されているのか?
報道によると、募集の説明は次のような内容でした。
- 客から買い取った品物が余っている
- 別の店に売ってきてほしい
- 買取店で物を買い取ってもらうだけのバイト
どれも危ない仕事には聞こえません。「運ぶだけ」「受け取るだけ」と同じ型の言い回しです。作業の軽さだけを伝え、品物の出どころは語らない。この特徴を覚えておくと、似た募集にも気づきやすくなります。
なぜ「売るだけ」でも闇バイトにあたるのか?
偽物を本物として売れば、店はだまされて代金を支払います。これは詐欺の実行行為そのものです。売る作業を担当した人は、グループの中でいちばん表に出る役になります。
警視庁も「詐欺行為に加担することになる」と呼びかけています。闇バイトは、警察の言い方では「犯罪実行者の募集」です。時給が出ても、交通費が出ても、アルバイトにはなりません。
偽造ネックレスの売却はどんな流れで進むのか?
流れは、募集、誘導、受け取り、売却、代金の受け渡しの5段階です。どの段階でも、指示役は表に出てきません。応募者だけが店のカメラに映り、書類に名前を残します。順番に追うと、誰がリスクを負わされているのかが見えてきます。
| 段階 | 起きること | 応募者の側に残るもの |
|---|---|---|
| 募集 | SNSで「売るだけ」の求人を見る | 応募の履歴 |
| 誘導 | 秘匿性の高い通信アプリへ移る | 送ってしまった個人情報 |
| 受け取り | 面識のない人物からネックレスを預かる | 偽造品を持っている状態 |
| 売却 | 指定された買取店に持ち込む | 本人確認の記録、防犯カメラの映像 |
| 受け渡し | 代金を渡し、報酬を受け取る | 報酬と、返金を求められる立場 |
SNSの求人から通信アプリへ誘導される理由とは?
応募すると、やり取りの場所がすぐに変わります。移動先は、メッセージが自動で消える設定ができる通信アプリです。神奈川県警察は、シグナルやテレグラムを例に挙げています。
理由は単純です。指示の記録を残したくないからです。ふつうの勤め先は、連絡手段をわざわざ隠しません。アプリの乗り換えを求められた時点が、引き返す合図と考えてください。
ネックレスの受け取りから売却までの指示内容とは?
報じられた事例では、応募者は都内で男からネックレスを受け取りました。相手は「さとう」と名乗っていたそうです。本名かどうかは分かりません。
その後、持ち込む店を指定されました。東京だけでなく、埼玉や千葉の店にも向かっています。同じ店に何本も持ち込むと怪しまれます。店を分散させる指示には、そうした計算があると考えられます。
売却代金と報酬はどう受け渡されるのか?
店で受け取った現金は、そのまま指示役側の男に渡します。引き換えに、時給2000円と交通費が支払われたと報じられています。
注目したいのは金額の差です。SNSには、この種の偽造品で80万円の損害を受けたという買取業者の投稿もあります。応募者の取り分は、それに比べてごくわずかです。大きなお金はグループへ、責任は応募者へという配分になっています。
東京都内の60代男性の事例では何が起きたのか?
発表のきっかけになったのは、都内に住む60代の男性の相談でした。男性は、自分が詐欺に関わっているとは思っていませんでした。気づいたのは、買取店から連絡が来たあとです。若い人だけの話ではないことが、この事例から分かります。経過を3つの場面に分けて見ていきます。
実在する店を装ったSNSアカウントとは?
男性が見た募集は、実在する店を名乗るSNSアカウントから出ていました。応募にはXが使われたと報じられています。
店の名前があると、人は安心します。「買取店が在庫を処分したいのだろう」と、筋の通った話にも見えます。店の名前は借り物かもしれない。公式サイトに載っている電話番号にかけて確かめるだけで、多くは見抜けます。
6日間で複数店舗を回って得た報酬はいくらか?
男性は6日間かけて、指定された店を回りました。日本経済新聞によると、都内で3店舗、埼玉県内で3店舗です。少なくとも6店舗で売却したことになります。
受け取った報酬は、合計で約7万円でした。1日あたりにすると1万円と少しです。短期の仕事として、ありえない額ではありません。「高すぎない報酬」だったことも、疑いにくさにつながったのかもしれません。
買取店からの返金要求でどう発覚したのか?
後日、売却先の1店から男性に連絡が入りました。偽物だったのでお金を返してほしい、という内容です。店が連絡できたのは、買取のときに男性の身元を確認していたからです。
男性は2026年8月20日、警視庁に相談しました。「自分が闇バイトをやったようだ」と話したそうです。代金はすでにグループへ渡っています。手元にないお金の返金を、自分の名前で求められる。売却役が置かれる立場は、この場面に表れています。
偽造品に使われた「タンタル」とは?
タンタルは、電子部品などに使われるレアメタルです。もともとは銀色がかった灰色をしています。これに金メッキをかけ、18金のネックレスに見せかけたものが持ち込まれました。なぜこの金属が選ばれたのか。理由は見た目ではなく、量ったときの数字にあります。
18金と比重が近い金属とは何か?
比重とは、同じ体積の水と比べた重さのことです。買取店は、この数字で金の純度をおおまかに確かめます。
| 素材 | 比重の目安 |
|---|---|
| 純金(24金) | 約19.3 |
| 18金 | 約15〜16 |
| タンタル | 約16.6 |
| タングステン | 約19.3 |
数値は物性値の目安です。18金は、混ぜる金属の配合で変わります。表のとおり、18金とタンタルの数字はかなり近いです。比重計にのせても、大きな違いは出ません。「量れば分かる」という検査の前提を突いた素材選びです。
金メッキと刻印でどこまで本物に見えるのか?
都内の買取店「ありがたや」は、タンタル製の喜平ネックレスについて注意を出しています。それによると、K18の刻印やホールマークまで入っていました。
メッキは厚くかけられています。表面を軽く削っても、下地が出ないそうです。刻印、色、重さ。店がふだん見るポイントを3つともそろえてきています。受け取った応募者が偽物と気づけないのも、無理はありません。
タングステンを使った偽造品との違いとは?
金の偽造では、以前からタングステンが知られていました。タングステンの比重は純金とほぼ同じです。そのため、純金製品の偽造に使われてきました。
タンタルは18金に近い数字です。ネックレスや指輪など、身につける金製品の多くは18金で作られています。つまり、持ち込まれても不自然でない品物に合わせて素材を変えてきたといえます。買取業者のあいだでも、タンタルは初めて聞いたという声が出ていました。
なぜこの手口が各地に広がっているのか?
広がった理由は3つ考えられます。金の値上がり、売却役を外から集める仕組み、地域を選ばない募集方法です。SNSの求人は、全国どこからでも見られます。グループにとっては、応募者のいる場所がそのまま活動範囲になります。順に見ていきます。
金価格の上昇はどう関係しているのか?
日本経済新聞は、金の価格上昇が背景にあるとの見方を伝えています。金が高くなるほど、ネックレス1本の買取額も上がります。
偽造する側から見ると、1回の売却で得られる金額が大きくなります。タンタルも安い金属ではありません。それでも採算が合うほど、金との価格差が開いているということです。
トクリュウが応募者に売却させる理由とは?
買取店では本人確認があります。防犯カメラもあります。グループのメンバーが自分で持ち込めば、身元が分かってしまいます。
そこで、事情を知らない応募者を間に入れます。応募者は、指示役の本名も居場所も知りません。通信アプリの履歴も消えていきます。警察庁は応募者のことを、犯罪グループにとっての「使い捨て」要員だと表現しています。
同様の手口が確認された地域はどこか?
警視庁によると、2026年6月から8月にかけて次の地域で確認されました。
| 地方 | 都県 |
|---|---|
| 関東 | 東京、埼玉、千葉 |
| 近畿 | 滋賀、兵庫 |
| 中国・四国 | 岡山、徳島 |
| 九州 | 福岡 |
関東から九州まで、1都7県に散らばっています。警視庁は、同じグループが関わった可能性を見ています。「自分の地域では聞かない話」とは言い切れません。
応募者はどんな罪に問われるのか?
偽物を本物として売り、代金を受け取る行為は、詐欺罪にあたる可能性があります。「頼まれただけ」でも、店に品物を出したのは本人です。ここでは刑事上の責任と、店との間で生じるお金の問題を分けて説明します。個別の判断は、警察や弁護士に確かめてください。
詐欺罪の法定刑とは?
詐欺罪は、刑法第246条に定められています。刑は10年以下の拘禁刑です。罰金刑の定めはありません。
罰金がないということは、有罪になれば拘禁刑が言い渡されるという意味です。執行猶予がつく場合もありますが、前科は残ります。約7万円の報酬とは、まったく釣り合いません。
「偽物だと知らなかった」は通用するのか?
詐欺罪が成立するには、だます意思が必要です。本当に何も知らなかったのであれば、罪に問われない可能性はあります。
ただし、判断は本人の言葉だけでは決まりません。面識のない人から高価な品を預かった。連絡は消えるアプリだけ。代金は手渡し。こうした事情から、怪しいと分かっていたはずだと見られることがあります。「もしかして」と感じながら続けた場合は、故意があったと判断されうる点に注意が必要です。
買取店から返金を求められたらどうなるのか?
店と売買をしたのは、指示役ではなく応募者本人です。品物が偽物だった場合、店は売った相手に返金や損害の支払いを求めることができます。
60代男性の事例でも、実際に店から連絡が来ました。1人で対応しようとせず、まず警察に事情を話してください。支払いの話し合いが必要になったら、弁護士や法テラスに相談できます。
なぜ応募者は途中でやめられなくなるのか?
「おかしい」と感じても、抜けられない人が多くいます。理由は、早い段階で個人情報を握られてしまうからです。店に自分の記録が残っているという後ろめたさも重なります。ただ、どの段階からでも相談はできます。その根拠も合わせてお伝えします。
顔写真や身分証を送らせる狙いとは?
朝日新聞は、応募者が顔写真などを送らされたケースがあったと報じています。名目は「本人確認」や「登録」です。ふつうのアルバイトでも身分証を出すので、不自然に感じにくいのです。
けれど目的は別にあります。やめたいと言い出したときに、脅す材料にするためです。先に情報を出させ、あとから縛る。闇バイトに共通するやり方です。
買取時の本人確認で誰の記録が残るのか?
古物営業法では、買取店は品物を買い取るときに相手の住所、氏名、職業、年齢を確かめる決まりになっています。取引の内容は帳簿にも記録されます。
つまり店に残るのは、応募者の名前だけです。指示役の情報はどこにもありません。偽物だと分かったとき、店や警察が最初にたどり着くのは売りに来た本人です。60代男性に店から連絡が来たのも、この記録があったからでした。
脅された場合に警察はどう対応するのか?
警視庁は、脅されたとしても勇気を出して相談してほしいと呼びかけています。神奈川県警察も、相談した人とその家族を確実に保護すると明言しています。
警察庁が紹介する相談事例には、さまざまな段階の人がいます。アプリのインストールを断った人。個人情報を送ったあとの人。仕事の説明を受けたあとの人。どの段階でも、相談は受け付けられています。
怪しい求人はどこで見分けられるのか?
見分けるポイントは、求人に書かれていることよりも、書かれていないことにあります。会社名、住所、仕事の中身。正規の求人なら当たり前にある情報が、闇バイトの募集には欠けています。応募する前に、30秒だけ確認してみてください。
正規の求人に記載が必要な項目とは?
長崎県警察の資料によると、募集情報には次の6項目を載せることとされています。
- 募集主の氏名または名称
- 住所
- 連絡先
- 業務内容
- 就業場所
- 賃金
これらが欠けた募集情報の提供は、法律で禁じられています。SNSの投稿で6つ全部がそろっていることは、ほとんどありません。「詳細はDMで」は、項目を書けない事情があるサインです。
「余った買取品を別の店に売る」説明のどこが不自然なのか?
買取店は、古物商の許可を持つ事業者です。在庫を現金にしたいなら、業者向けの市場や取引先に自分で売れます。そのほうが早く、人件費もかかりません。
知らない人に時給を払い、品物を預け、別の店に行かせる。店側には何の得もない方法です。得をするのは、自分の名前を出したくない人だけ。こう考えると、説明の穴が見えてきます。
中高年が応募してしまう理由とは?
闇バイトは、若者の問題として語られがちです。ところが、今回相談したのは60代の男性でした。考えられる要因を整理します。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 仕事の内容 | 体力がいらず、人と話す場面も少ない |
| 報酬の水準 | 時給2000円ほどで、現実的に見える |
| 見た目の信用 | 実在の店名を名乗っている |
| 店での見え方 | 年齢を重ねた人が金製品を売りに来ても、不自然に見えにくい |
年金の足しや空き時間の活用を考える世代にも、募集は届いています。「闇バイトは若い人の話」という思い込みが、警戒をゆるめてしまうのです。
応募や売却をしてしまった場合はどうすればよいのか?
いちばん大切なのは、早く警察に話すことです。時間がたつほど、持ち込む店の数が増えます。それだけ責任も重くなっていきます。60代の男性も、自分から相談したことで事態が明らかになりました。連絡先、残すもの、手元の品物の扱いを順に確認しましょう。
最初に連絡する相談先はどこか?
状況ごとの連絡先は次のとおりです。
| 状況 | 連絡先 |
|---|---|
| 応募した、売却してしまった | 警察相談専用電話 #9110 |
| 直接会って話したい | 最寄りの警察署 |
| いま脅されている、身の危険がある | 110番 |
#9110は全国共通の番号です。かけた地域の警察本部の相談窓口につながります。受付時間は都道府県で異なります。つながらないときは、警察署に行ってください。相談では、次の点を伝えると話が早く進みます。
- いつ、どのSNSで募集を見たか
- 誰から何を受け取ったか
- どの店で、いつ売ったか
- 相手に送った個人情報
指示役とのやり取りは消さずに残すべきか?
残してください。履歴やアカウントを消したくなる気持ちは自然です。でも、その記録は「指示されて動いた」ことを示す材料になります。
通信アプリのメッセージは、時間がたつと自動で消える設定になっていることがあります。気づいた時点で、画面を撮影して保存しましょう。残しておきたいものは次のとおりです。
- 募集の投稿とアカウント名
- 通信アプリでの指示内容
- 店でもらった買取明細や控え
- 報酬を受け取った日時と場所
相手に「やめます」と伝える前に、先に保存と相談。この順番が安全です。
受け取った報酬や手元のネックレスはどう扱うべきか?
まだ売っていないネックレスが手元にあるなら、店には持ち込まないでください。捨てたり、指示役に送り返したりもしないでください。大切な証拠になります。
受け取った報酬も同じ考え方です。使わずに、金額が分かる形で置いておきましょう。どちらも自分で判断せず、相談のときに警察へそのまま伝えるのが確実です。
買取店・質店はどうすれば見抜けるのか?
警視庁は買取業者に対し、比重測定や成分検査を活用するよう呼びかけています。ポイントは、1つの検査に頼らないことです。タンタルの偽造品は、比重という1つの関門を通り抜けるように作られています。検査を重ねるほど、すり抜けは難しくなります。
比重測定だけでは判別できない理由とは?
先に見たとおり、タンタルの比重は18金に近い数字です。比重計は「重さが金らしいか」を調べる道具です。「中身が金かどうか」までは分かりません。
買取業者のSNSには、比重が18金に近い値になり、試金石の検査でも反応が残ったという報告があります。厚いメッキの部分だけを調べてしまうためです。表面だけを見る検査は、メッキ品に対して弱いと考えておく必要があります。
成分検査や切断確認はどんな場面で使うのか?
成分検査は、X線などで金属の種類を調べる方法です。警視庁も、専用機器での分析を勧めています。検査ごとの特徴を整理します。
| 検査 | 分かること | 弱点 |
|---|---|---|
| 比重測定 | 重さが金の数字に近いか | 比重の近い金属は通ってしまう |
| 試金石 | 表面の金の反応 | 厚いメッキでは反応が出る |
| X線などの成分検査 | 表面付近の金属の種類 | メッキが厚いと内部まで届かないことがある |
| 切断確認 | 断面の色と中身 | 元に戻せない。持ち主の了承が必要 |
ありがたやでは、喜平ネックレスの買取時に切断して確認する運用を公表しています。検査方法を店頭やサイトで先に知らせておくこと自体が、持ち込みの抑止にもつながります。
持ち込み客のどんな点に注意すべきか?
売却役は、品物のことを何も知りません。いつ買ったのか、どこで買ったのか。質問に答えられないことが多いはずです。買取業者の投稿にも、持ち込んだ人に尋ねたら様子が怪しかったという話がありました。
次のような点が重なったら、検査を1段階増やす目安になります。
- 品物の入手経緯をはっきり説明できない
- 店内でスマートフォンの画面を何度も確認している
- 同じ形の喜平ネックレスが短期間に続けて持ち込まれる
- 査定額に関心が薄く、すぐに現金化したがる
持ち込んだ人も、だまされている側かもしれません。不審に感じたら、その場で問い詰めるより警察への相談を優先してください。
家族が応募していないか確かめるには?
家族が関わっているかもしれない。そう感じたときに大切なのは、早く気づくことと、責めないことです。本人も「何かおかしい」と思いながら、言い出せずにいる場合があります。話せる相手が家の中にいるだけで、引き返せる可能性は大きく変わります。
どんな変化が兆候になるのか?
今回の手口に当てはめると、次のような変化が考えられます。
- 仕事の内容を聞いても「物を売るだけ」としか言わない
- 勤め先の名前や場所があいまい
- 見慣れない通信アプリを使い始めた
- 日によって違う街の買取店や質店に出かけている
- 報酬を現金の手渡しでもらっている
1つだけなら、心配しすぎかもしれません。いくつか重なるようなら、話を聞いてみる時期です。
本人を責めずに話を聞くにはどうすればよいか?
「なんでそんなものに応募したの」と言われると、人は黙ってしまいます。まずはニュースの話題として切り出すと、本人も答えやすくなります。
離れて暮らす家族には、メッセージで伝える方法もあります。
ニュースで見たんだけど、「金のネックレスを売るだけ」っていうバイトが詐欺に使われているみたい。
渡されるネックレスが偽物で、売った人が店から返金を求められるんだって。
もし似た話を見かけたり、声をかけられたりしていたら教えてね。
怒ったりしないから。いっしょに考えよう。
「怒らない」「いっしょに考える」を先に伝える。それだけで、返事の来やすさが変わります。
家族から警察へ相談できるのか?
できます。#9110は、本人以外からの相談も受け付けています。家族が闇バイトに関わっているかもしれない、と伝えれば大丈夫です。
警察は、相談者だけでなく家族も保護の対象としています。本人が脅されていて動けない場合もあります。家族が先に窓口とつながっておくと、本人が決心したときにすぐ動けます。
金のネックレス売却バイトに関するよくある質問
ここまでで触れきれなかった疑問をまとめました。「1回だけなら」「お金をもらっていなければ」といった、判断に迷いやすい点が中心です。法律に関わる部分は、おおまかな考え方の説明です。ご自身の状況については、警察や弁護士に確認してください。
1回売却しただけでも逮捕されるのか?
回数が少なければ罪にならない、という決まりはありません。偽物を本物として売り、代金を受け取った時点で、詐欺罪の対象になりえます。
逮捕されるかどうかは、関わり方や事情によって変わります。はっきり言えるのは、続けるほど件数が増えるということです。1回で気づいて相談した人と、何度も続けた人では、その後の扱いが違ってきます。
報酬を受け取っていなければ罪にならないのか?
詐欺罪は、相手をだまして財産を渡させた時点で成立します。店が代金を支払っていれば、応募者が報酬をもらったかどうかは関係しません。
約束の報酬が払われなかったという話は、闇バイトでは珍しくありません。報酬はもらえず、責任だけが残る。いちばん避けたい結果です。
個人情報を送った後でも相談できるのか?
相談できます。長崎県警察の資料にも、個人情報を送ってしまったとしても勇気を出して相談してほしいと書かれています。
「もう送ってしまったから従うしかない」と考える必要はありません。送った情報の内容をメモしておくと、警察が保護の方法を考えるときに役立ちます。送ったもの、送った日、相手のアカウント名の3点を控えておきましょう。
怪しい募集投稿を見つけたらどこへ通報すればよいか?
通報先は2つあります。最寄りの警察署と、警察庁の委託で運営されているインターネット・ホットラインセンターです。後者はウェブから通報できます。
SNSの通報機能も合わせて使えます。投稿はすぐ消されることがあるため、通報の前に画面を保存しておくと確実です。自分で応募して確かめるのは避けてください。
自分の金製品を売るときに偽造品と疑われないためには?
自分で買った品物や、家族から譲り受けた品物なら、心配はいりません。買取店は毎日本物を見ています。検査が増えても、本物は本物として査定されます。
手続きをなめらかにするコツはあります。購入時の保証書や箱があれば持参しましょう。いつごろ、どこで手に入れたかを話せるようにしておくと安心です。切断確認を行う店もあります。形を残したい品物は、事前に検査方法を尋ねてください。
まとめ
「売るだけ」「運ぶだけ」「受け取るだけ」。作業の軽さを強調する募集は、形を変えて出てきます。品物がネックレスから別のものに変わったとしても、仕組みは同じです。2026年7月10日には、送金を代行する行為にも罰則が設けられました。「頼まれて動いただけ」の人が責任を問われる範囲は、広がっています。
収入の不安が応募のきっかけになっているなら、頼れる公的な窓口があります。お住まいの自治体の自立相談支援の窓口では、仕事や家計の相談ができます。今日できることは3つです。スマートフォンに#9110を登録する。家族とこの手口の話をする。気になる求人は、応募の前に募集主の名称と住所を検索する。
参考文献
- 「金のネックレス売るだけ」に注意! 相次ぐ偽造品、「安易な応募だめ」―警視庁 – 時事ドットコム
- 闇バイト 相次ぐ偽造品売却の手口(時事通信) – dメニューニュース
- レアメタル「タンタル」に金メッキ 偽造ネックレス、複数質店で売却 – 日本経済新聞
- 質店にニセの「金のネックレス」、闇バイト相次ぐ 返金迫られ警察に – 朝日新聞(Yahoo!ニュース配信)
- 「物を買い取ってもらうだけ」と聞いたのに 闇バイトに応募で金メッキを18金だと販売 全国で相次ぐ 警視庁が注意喚起 – Cube ニュース
- 犯罪実行者募集情報(闇バイト)は犯罪です – 警視庁
- SNS等で犯罪実行者募集情報に応募している人へ – 神奈川県警察
- いわゆる「闇バイト」は、犯罪実行者の募集です! – 茨城県警察
- 犯罪実行者募集情報(闇バイト)への対策 – 香川県警察
- 怪しい求人には応募しないでください(啓発資料) – 長崎県警察
- 偽物情報 – 貴金属・ブランド品買取 ありがたや
- 刑法(第246条) – e-Gov法令検索
- 古物営業法(第15条) – e-Gov法令検索
